2021年7月22日(木)
「黒い雨」訴訟 国は上告断念を
野党国会議員が要望
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広島への原爆投下直後に放射性物質を含む「黒い雨」を浴びたとして被爆者健康手帳の交付を求めた「黒い雨」訴訟で、広島高裁が原告勝訴の判決を出したことを受けて、日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社民党は21日、厚生労働省に上告断念などを求めて要望しました。
要望事項は、(1)上告断念とともに、広島県・市による原告ら全員に対する被爆者健康手帳の速やかな交付の容認(2)「黒い雨」被爆者に対する被爆者援護行政を根本的に見直し、審査基準の改訂などで、すべての「黒い雨」被爆者を速やかに救済すること―です。
立民の長妻昭衆院議員は「高裁判決を受けて上告を断念し、判決の中身を受け入れ、原告のみならず同じような環境にある方々に、きちっとした対応を」と求めました。
日本共産党の笠井亮衆院議員は「さまざまな調査の結果や、原告の声を受けて、川1本で救済を線引きすることは不条理であることが明らかになっている。被爆者として認め、手帳も渡るようにすべきだ」と指摘。本村伸子衆院議員は「被爆者には、『亡くなるのを待っているんじゃないか』という声もある。一刻も早く判決を確定させてほしい」と述べました。井上哲士参院議員は「現場で被爆者と向き合ってきた広島県や市が『上告しないでほしい』と言っている。その思いも受け止め、救済を」と求めました。
社民党の福島瑞穂党首は「黒い雨で被爆しながら救済されないという不合理をいま解決しなければ」と、立民の森本真治参院議員は「被爆者として認定してもらえるよう政治判断をしてほしい」と訴えました。
厚労省の担当者は「関係省庁、関係機関と連携・協議し、対応を検討したい」と回答しました。