2021年7月26日(月)
内閣官房機密費で加藤氏
年度末使い切る“菅流”踏襲
領収書不要の政策推進費が93%
加藤勝信官房長官が、菅義偉政権が発足した昨年9月に官房長官となってから、今年3月末までに7億円超の内閣官房機密費(報償費)を支出したことが分かりました。このうち6億6800万円(93%)が、長官が自由に使える領収書不要の「政策推進費」でした。本紙が入手した情報公開資料で判明したもの。その手法からは3月に多額の「政策推進費」を使う点など、前任の官房長官だった菅首相との共通点がみえてきました。(矢野昌弘)
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官房機密費は会計検査院にも支出先を明らかにしない“使途秘匿金”です。機密費には、3類型(図参照)があります。このうち「政策推進費」は、官房長官に渡した時点で“支出完了”となります。加藤氏しか使い道を知らない最もヤミ金の要素が大きい金です。
加藤氏は昨年9月16日に官房長官に就任。菅氏が「政策推進費」の金庫に残した4200万円を同月中に使い切ったのを皮切りに、毎月9000万円前後を支出しています。今年3月には毎月の2倍にのぼる1億8630万円を「政策推進費」で支出していました。
年度中に使い切れずに国庫に返納した機密費はわずか13万円。金庫をほとんど空にするまで、支出していました。
こうした手法は菅首相の官房長官時代とそっくりです。菅氏は毎年、3月に多額の「政策推進費」を支出。その結果、国庫に返したのは8年度分を合計しても計40万5000円(2012年度~19年度)にすぎません。
加藤氏は機密費について「その都度の判断で機動的に使用する経費」と述べています。
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政治資金の問題に詳しい浦野広明税理士は「『機動的に』使うといいながら、毎年3月に支出が増えるのは明らかにおかしい。『政策推進費』が必要な場面が3月に集中するとでもいうのだろうか。しかも、官房機密費の予算枠ぎりぎりに使うというのは、狙ってやらないとできない。目的外の支出、私的流用をしている疑いがある」と指摘します。