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2021年8月23日(月)

土壌汚染 国、調査せず

大阪・摂津 住民・山下氏が実施要求

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(写真)高濃度のPFOA汚染が検出された井戸を指さす60代の男性。井戸は畑の中にあり、井戸水を作物にあげていた=大阪府摂津市

 大阪府摂津市で、地下水などから高濃度の有機フッ素化合物PFOA(ピーフォア)が検出されている問題で、小泉進次郎環境相が「土壌中のPFOAの分析方法が確立されていない」と汚染土壌の調査を拒否しています(6月8日、参院環境委員会)。地元住民が実態調査を求めるもとで、日本共産党の山下芳生参院議員は、土壌調査を実施するよう国に迫っています。

 PFOAは、国際的に製造・使用が禁止され、発がん性や低体重児の出産の増加などの重大な健康被害が懸念されています。摂津市では空調大手ダイキン工業が排出したPFOAによって地下水が汚染され、畑の土壌と作物からも高い値のPFOAが検出されています。山下氏は、このほど行った環境省への聞き取りで、住民の血液中のPFOA濃度が異常に高かったという研究グループの調査結果を示し、「この調査は信用できないということか」と問いました。

 環境省の担当者は、「土壌汚染対策法(土対法)では『含有量』でなく『溶出量』で見ており、測定方法が確立していない」と回答。また「測定方法が確立しても調査するかは別問題。国は基準をつくり、運用は自治体が行う」と調査の先延ばしに終始しました。山下氏は「すでに測定方法がある。新たな方法を『確立する』と調査を先延ばしするなら、水俣やアスベストと同じく行政の不作為になる」と批判しました。

 摂津市で土壌調査した京都大学の原田浩二准教授は、政府の姿勢について「含有量の調査は学術論文でも報告され、その方法も特殊ではない。全国で行われている水質調査の分析機器で可能だ」と指摘。その上で「溶出量での評価は、将来的な課題だが、それ以前に潜在的な土壌汚染の把握のために含有量の全国調査が求められる」としています。


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