2021年9月6日(月)
主張
共産党の気候戦略
力合わせて人類の危機打開を
異常な豪雨、台風、猛暑、海面上昇など地球の温暖化がもたらす気候危機が世界で大問題になっています。原因である二酸化炭素(CO2)排出を今後10年足らずの間に半分近くまで減らせるかどうかに人類の未来がかかっています。日本共産党は、2030年度までに10年度比でCO2を50~60%削減し、気候危機を打開する「2030戦略」を発表しました。省エネ、再生可能エネルギーの大規模な推進で脱炭素社会を実現する総合的な提言です。地球を守り、豊かな自然環境を将来に引き継ぐために力を合わせましょう。
省エネ・再エネでゼロへ
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は50年までに温室効果ガスの排出量の実質ゼロを達成し、その後も大気中のCO2を減らすことによって21世紀末までに世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて1・4度に抑えることができるとして各国に行動を求めています。
日本で30年度までに50~60%削減することは、エネルギー消費を4割減らし、再エネで電力の50%をまかなえば可能です。さらに50年に向けて、残されたガス火力なども再エネに置き換え、実質ゼロを実現します。
日本政府の目標である30年度までに「13年度比46%削減」はあまりに低すぎます。石炭火力の新増設、原発依存も掲げています。
省エネは企業にとってはコスト削減のための投資であり、家計にとっても負担減です。日本は世界から大きく立ち遅れています。まともに取り組めばCO2排出を大きく削減できます。
再エネの潜在量は政府の試算でも、現在の国内電力需要の5倍です。再エネによる電力を30年までに50%、50年までに100%にすることは十分可能です。
これを進めるためには社会システムの大改革が必要です。
電力分野では▽社会全体の省エネ化によって30年までに電力消費を20~30%削減する▽30年に石炭火力、原発の発電量をゼロにし、電力の50%を再エネでまかなう―ことをめざします。再エネ普及の障害になっている乱開発を防ぐことも欠かせません。
日本のCO2排出量は電力、鉄鋼、セメント、石油精製など六つの業種に集中しています。約200の大規模事業所で60%を占めます。ここでの脱炭素化が決定的です。CO2削減目標と計画などを国との「協定」にして国民への公約にする必要があります。
交通政策の全面的転換や断熱・省エネのまちづくり、自治体の「排出ゼロ」推進政策も重要です。
持続的成長開く脱炭素
脱炭素社会の実現は生活水準の低下や経済の停滞をもたらすものではありません。新しい雇用を創出し、地域経済を活性化し、持続可能な成長に道を開く大きな可能性を持っています。コロナ危機で落ち込んだ経済を立て直す上でも「グリーン・リカバリー」(緑の復興)が世界的課題です。
脱炭素化に向けた社会のシステムの改革は、国民の暮らしと権利を守る「公正な移行」でなくてはなりません。人間らしく働ける雇用のルールの確立や貧困、格差の是正と一体に進めてこそ実現できます。大企業の目先の利益を最優先する新自由主義の政治からの転換が不可欠です。