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2021年9月10日(金)

コロナ禍の中の自公農政

日本共産党国会議員団農水部会長 田村貴昭衆院議員に聞く(中)

大企業優先を推進

小規模経営切り捨て

写真

(写真)種苗法改定案の委員会での採決に抗議する人たち=2020年12月1日、参院議員会館前

 ―コロナ禍の中でも、自公政権が脱却できない既存の路線というのは、どういったものですか。

 田村 私が衆院農林水産委員会に所属した2017年以降、11カ国の環太平洋連携協定(TPP)が発効したのをはじめ、日米貿易協定、日本欧州連合(EU)経済連携協定、東アジアの包括的地域連携協定(RCEP)と立て続けに、農産物輸入の「自由化」が行われました。

 米国やオーストラリア、ヨーロッパなどからの農産物にかけられているほとんどの関税が、今後十数年かけてジリジリと下げられ、最終的には撤廃されます。

 安倍晋三前政権は、外国産と競争できる経営を支援するとして、小規模経営や家族経営を切り捨て、企業化、大規模化を推進しました。これは、安倍前首相が13年の施政方針演説で公言した、「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」という方針の農業政策版でした。

農家が種をとれぬ

 ―種子法の廃止や種苗法の改定もその流れですね。

 田村 安倍前政権は18年、突然、各県の農業試験場の根拠法である「主要農作物種子法」を廃止してしまいました。しかも、「農業試験場が持っている技術とデータを、民間企業に売り渡して、開発をやめろ」という通知まで出しました。

 さらに、その後、品種開発者の権利を強化する種苗法改定が行われました。農家はこれまで、種を買ってきて育て、種を取って再び植える「自家採種」ができました。しかし、今後は、お金を払って権利者から許諾を取らなくてはならなくなったのです。

 「化学肥料とセットで種を販売する大企業の品種開発」のための改定だという批判が広がりました。改定種苗法は最終的には成立しましたが、それに反対した野党の共闘が進みました。その過程で、「種子法復活法案」を野党の共同で提出し、審議もさせました。

大漁旗が国会包囲

 ―大企業優先の「改革」は水産・漁業分野でもみられましたね。

 田村 17年、クロマグロの資源管理として、政府が出した漁獲枠の配分は、少数の大手まき網の船団を優遇するものでした。2万隻におよぶ沿岸のマグロ漁師にはわずかな枠しか配分されませんでした。

 「1回漁に出たらもう枠がなくなった」と、怒った全国のマグロ漁師が国会に押し寄せ、水産庁前に大漁旗がはためきました。私も漁師の国会デモに協力し、他の野党も集会に参加して、共闘が広がりました。

 さらには、「水産改革」と称して、漁業法の大改悪が行われました。戦後の漁業法は、地元の漁業者が優先的に漁場を利用できる制度を定めていました。しかし、安倍前政権はこれを70年ぶりに全面改定し、外部の企業が参入できる仕組みを導入したのです。

 かつてのように、漁業権免許を漁業協同組合から得る代わりに、漁場の環境保全に協力し、漁獲・出荷の方針に従うのは、企業にとって制約です。そこで、免許を知事から直接受けられるようにし、海面を自由に利用できるようにしたのです。

 このときも、漁師が大漁旗を掲げて院内集会を行い、野党との共同が進みました。

 19年の参議院選挙の直前、ある離島の漁師の方々の集いで、私が国会報告を行いました。島のリーダーの方が「一体どの政党、どの議員が俺たちの声を聞いてくれているのか。みんな真剣に判断してほしい」と、日本共産党への支持を訴えてくれました。

 (つづく)


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