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2021年9月21日(火)

主張

コロナと雇用悪化

非正規の「使い捨て」を許すな

 コロナ危機による経済の落ち込みが非正規雇用の労働者を直撃しています。解雇、雇い止めのほか、休業させた非正規労働者に手当を払わない不当な行為が横行しています。「使い捨て」の働き方を許してはなりません。どのような働き方でも安心して暮らせる社会の実現はコロナ危機でいよいよ切実な課題になっています。

休業手当、支援を確実に

 歴代の自民党政権が労働法規の規制緩和を進めたため、1980年代以降、非正規雇用が大幅に増えました。この不安定な働き方の労働者がコロナ危機で仕事や収入を失っています。総務省の労働力調査によると、2020年度の非正規労働者は2066万人です。19年度と比べて97万人減りました。うち65万人が女性です。

 事業所の休業や営業時間短縮によって仕事を休まざるをえなかった労働者も急増しています。20年度の休業者は261万人で、19年度比で80万人も増えました。女性の非正規労働者が多い宿泊・飲食業で最も増えました。

 雇い主の都合で労働者を休業させた場合、正規、非正規を問わず、休業手当を支払うことが義務づけられています。しかし労働政策研究・研修機構の調査によると、21年1~2月に休業や時短があった非正規労働者のうち賃金、休業手当、国のコロナ対応休業支援金の「いずれももらっていない」と答えた人は46%に上ります。政府はまず、休業手当をきちんと支払うよう企業に指導する必要があります。

 休業支援金は、コロナ危機で休業させられたのに休業手当を得られない労働者が対象です。当初、中小企業に限定されていましたが、労働者の粘り強い要請で大企業の非正規労働者に拡大されました。支援が確実に届くようさらに改善、拡充が求められます。

 シフト制(交代勤務)の非正規労働者に対して雇い主が「シフトを減らしたのであって休業を指示していない」などと言って休業手当の支払いを拒んだり、休業支援金の申請に協力しなかったりする事例が数多く報告されています。シフト減を盾にして休業手当を払わないのは脱法的な行為です。

 この間、労働組合の運動や日本共産党の国会質問でシフト制労働者の権利を守るたたかいが政府を動かしてきました。コロナ危機の影響によるシフト減で離職した場合、失業給付をすぐ支給するコロナ特例を厚生労働省が作成したことは重要です。シフト減で退職を余儀なくされても「自己都合」と扱われ、給付まで2カ月待たされることが問題になっていました。

シフト労働者守る規制を

 シフト制は勤務日数や労働時間が固定されず、使用者が都合よく決めることができます。最低賃金に近い低賃金である上に、一方的なシフトの決定など数々の理不尽がまかり通っています。人権を守るルールが必要です。

 欧州連合(EU)はシフト制労働者の権利保護に向けて19年に指令(法律)を制定しました。最低限の労働時間数を決めて労働者に通知し、シフト・ゼロで無給になることを防ぐ仕組みが定められています。シフトの事前告知、使用者都合のシフト・キャンセルに対するキャンセル料の支払いも盛り込まれました。日本も法規制の検討に踏み出すべきです。


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