臨時国会で岸田自民党とどう対決するか、政権交代のかかった解散・総選挙に向けて日本共産党はどうたたかうか―。NHK「日曜討論」(3日)の党幹部インタビューで志位和夫委員長が答えました。
■自民党・岸田新体制
自民党政治の枠内での政権たらい回しでは政治は変わらない。政治を変えるには政権交代が必要
――自民党は岸田新総裁のもと、執行部も決まりました。どう対峙(たいじ)していきますか。
志位 岸田さんというのは、9年間の安倍・菅自公政治を、重要閣僚として、党の幹部として、中枢で支えてこられた方です。そして総裁選での議論を見ておりましても、憲法9条の改定を進める、原発再稼働を進める、数々の国政私物化疑惑の究明については背を向ける態度をあらわにしました。
そして、党の幹事長に、「政治とカネ」の問題で大臣を辞め、国会に対して説明責任を一切果たしていない方を据えるなど、人事も「安倍カラー」一色です。
ですから、「安倍・菅直系政治」と言うほかありません。
行き詰まった自民党政治の枠内で政権のたらい回しをやっても政治は変わらない。政治を変えようと思ったら、政権交代、そして新しい政権をつくる、これがどうしても必要だと言いたいと思います。
■臨時国会
召集拒否の責任は重い。一問一答の予算委員会を行い、総選挙の争点を明らかにして審判を仰げ
――明日からの臨時国会にはどう臨んでいきますか。
志位 臨時国会は、私たち野党が7月16日に、憲法にもとづいて召集を要求し、コロナからどうやって国民の命を守るか、これを大いに議論しようということを求めてきたんですけれども、政府はこれを握りつぶしてきた。そして、オリンピック・パラリンピックを開催し、感染爆発・医療崩壊を起こし、多くの犠牲を生んだ。この責任はたいへんに重いと思います。
臨時国会を開くからには、代表質問だけではなくて、一問一答の予算委員会をしっかりやって、コロナ対策、そしてコロナ後の日本をどうつくるかを十分に議論して、国民に(総選挙の)争点を明らかにして審判を仰ぐべきだと思います。
■新型コロナ対策
ワクチン追加接種と一体に「大規模・頻回・無料」のPCR検査を行え
――コロナ対策ですが、緊急事態宣言が全て解除されました。いまどんな対策が必要だと考えていますか。
志位 これから経済を動かしていくことを考えた場合に、決定的に重要なのは大規模検査です。
ワクチン接種をしても、いわゆる「ブレークスルー感染」が起こることが判明しています。海外の進んだ国では、ワクチンの追加接種(ブースター)と一体に「大規模・頻回・無料」のPCR検査、これをセットでやって経済を回す。こういう方向に舵(かじ)を切っているわけですね。
ところが日本の場合、この検査がイギリスと比べても直近の人口比で23分の1なんですよ。相変わらず遅れている。
私たちは、「いつでも、誰でも、何度でも、無料で」PCR検査が受けられる、こういう体制を今すぐつくるべきだと主張しています。これを強く求めたいと思います。
持続化給付金・家賃支援給付金の再給付、一律10万円の特別給付金を数兆円規模で
――政府は今後、日常生活の制限について段階的に緩和していく方針です。どう進めていくべきだと考えますか。
志位 その(段階的な緩和)うえでも、いま言った検査が非常に大きなカギになってきます。
今後、経済ということで言いますと、暮らしと営業がうんと痛んでいるわけです。そういうもとで、持続化給付金と家賃支援給付金の第2弾の支給がどうしても必要です。
それから、コロナで収入が減った方、生活に困っている方に対して、一律10万円の特別給付金を、数兆円規模で出すというような対策をしっかりやっていくことが大事だと思います。
■総選挙で何を訴える
政権交代と新しい政権の実現、安倍・菅自公政治からの「四つのチェンジ」を訴えてたたかう
――衆院選挙について聞きます。共産党は、野党連携を強化してきましたが、選挙戦で何を中心に訴えていきますか。
志位 日本共産党は、党をつくって99年なんですが、今度の選挙で初めて政権交代の実現、そして新しい政権をつくると、これにチャレンジしたいと思っています。
とくに私たちは、安倍・菅自公政治からの「四つのチェンジ」を選挙戦で訴えていきたい。
第一は、弱肉強食の新自由主義はもうやめにして、国民の命と暮らしを何よりも大切にする政治にチェンジをしていく。
第二は、地球規模の気候危機、これを打開する政治へのチェンジです。脱炭素・原発ゼロ、省エネ・再エネの大規模普及を進めていきたい。
第三は、ジェンダー平等の日本へのチェンジです。男女の賃金格差をなくす、選択的夫婦別姓、女性に対するあらゆる性暴力の廃絶、これらを訴えていきたい。
第四は、憲法9条に基づく平和外交です。この点では、核兵器禁止条約に参加する、辺野古の新基地建設は中止する。こういう問題も、大きな争点として訴えていきたいと思います。
■政権協力の合意
安倍・菅自公政治のチェンジの要となる政策を実行――新政権支える強大な共産党国会議員団が必要
――選挙のたたかい方ですけれども、立憲民主党との間では、政権交代を実現した後、政策合意の範囲内で、限定的に閣外から協力するということで合意しています。こうしたことが波紋を広げている。こういった共闘というのが、比例代表などの共産党の票に影響することはないんでしょうか。
志位 私は、非常に大事な合意が結ばれたと思っております。私たちは、新政権ができた場合に、「閣外協力」ということでやっていくということになりますが、私たちはもともと、「閣内でも、閣外でも、どちらもありうる」と言ってきました。要するに日本の政治がよくなればいいわけですね。
枝野(幸男・立憲民主党代表)さんと結んだ党首合意では、新政権が実行する政策として、「市民連合と合意した政策」を実行することを合意しています。この内容というのは、20項目にわたる内政・外交万般にわたる、いわば安倍・菅自公政治のチェンジの要になる大事な政策を合意しています。
これを実行する政権ができたら、日本共産党としては、閣外から強力に支える。新しい政権が揺るがずに前に進むためには、どうしても強大な日本共産党国会議員団が必要だということを訴えていきたいと思います。
共闘を進めることと、共産党の躍進、これは両立しますし、両立させていきたいと思っています。
――選挙の争点を一言で言うとズバリ何でしょうか。
志位 先ほど4点ほど申し上げたんですけれども、ズバリ、“安倍・菅自公政治の総決算とチェンジ、政権交代”というのが争点だと思います。