2021年10月12日(火)
NHK「日曜討論」での田村政策委員長の発言(詳報)
与野党の政策責任者が4カ月ぶりに並んだ10日のNHK「日曜討論」。日本共産党の田村智子政策委員長は、岸田文雄首相の所信表明演説(8日)への受け止めを問われ、次のように述べました。
首相所信表明
田村 国民との危機感の共有がなかった。感染爆発、入院制限で8月に自宅で亡くなった方は250人ですよ。なぜこんな事態になったのかの検証は一言もなかった。
この1年半、緊急事態宣言を4回出したのに、持続化給付金や家賃支援給付金、国民への(特別定額)給付金も1回だけ。もう限界だという声はすでにあふれ、学生の困窮と孤独は本当に深刻です。何も具体的な支援策が示されていないことに危機感を覚えます。“これから検討する”では間に合わない。
田村氏は、気候危機や森友・加計学園問題、「桜を見る会」、日本学術会議会員候補任命拒否に一言も触れずに「民主主義の危機」を語ったと岸田氏を批判し、「やはり自公政権では何も変わらない」と指摘しました。
立憲民主党の泉健太政調会長は、岸田首相の「新しい資本主義」について「ほとんど中身が分からないまま、言葉だけ出てきている」と指摘。自民党総裁選で首相が掲げた金融所得課税の見直しは演説になかったと述べ、「表紙だけで乗り切ろうとするのは不誠実だ」と批判しました。
コロナ対策
司会者からコロナの第6波も見据えた対策を問われた田村氏は、「反省なきコロナ対策では、また感染の波が起きてしまう」と述べ、医療崩壊を招いた悪政を告発しました。
田村 国による予算と人員の削減で医療や公衆衛生の基盤が非常に崩されてしまった。この反省があるのか。
感染症病床は一番多かったときから半減、集中治療室も日本はイタリアの半分以下、ドイツの6分の1、緊急時対応のベッド、医師、看護師が圧倒的に不足してしまった。保健所もかつて852カ所あったのに、いまは469カ所に半減。“これまでの削減は誤りだったから、こういう本格的な体制強化をする”という方針が示されてこそ、臨時的な増員もできるはずです。
田村氏が感染症病床の8割を担う公立公的病院の統廃合=削減中止を求めたのに対し、高市氏は「削減に私は猛反対してきた」と発言。田村氏は、「公立病院統廃合反対の立場なら、今年度、消費税を財源に1万床を減らすのを撤回させてほしい」と求めました。
新自由主義
泉氏が、岸田氏の「新自由主義からの脱却」は「本当にそうなのか」とただしたのに、高市氏は直接答えず、「これからも成長戦略をどんどん打っていく」と述べ、新技術などへの「規制改革」も続けると発言。田村氏はこう述べました。
田村 「新自由主義を排すのか」というのに答えなかった。そうではないということですよ。「規制改革」は今後も必要だと。アベノミクスに何か反省があって(政治を)変えるというわけではないということです。
田村氏は、大企業の内部留保は133兆円増え、株価つり上げで大富豪の資産が膨張するなど、「アベノミクスは狙い通りだった」と指摘。一方、平均実質賃金が22万円も減ったのは、雇用のルールを壊して非正規雇用が急増した結果だとして、「ますます働いてもまともな暮らしができない事態になりかねない。非正規から正規への労働法制改正や最低賃金引き上げについて、すぐに議論が必要だ」と主張しました。
総選挙に臨む
総選挙にどう臨むかと問われた田村氏は次のように答えました。
田村 今日の討論でも、やはり自民党、公明党の政権をもう終わりにしなければいけないと、野党が一緒に政権交代を目指していくことが必要だと思います。野党の政策合意は、核兵器禁止条約の批准、消費税の5%への減税では一致しています。新自由主義から抜け出し、ジェンダー平等も実現していく大きな政策転換をぜひ訴えていきたい。