2021年10月13日(水)
気候危機打開へ CO2 Zero
一握りの事業所がCO2大量排出
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日本におけるCO2(二酸化炭素)排出量の6割以上を、発電所と産業分野が占めています。気候危機の打開に向けて脱炭素を実現するためには電力や産業分野での改革が不可欠です。
大量にCO2を排出している事業所はごく一部です。環境省の調査をもとにした気候ネットワークの分析によると、日本のCO2排出量の4分の1がわずか30の事業所から排出されています(2017年度実績)。すべて発電所と製鉄です。
CO2排出量を業種別にみると、電力事業のほか、鉄鋼業、化学工業、セメント、石油精製、製紙業の6分野に集中しています。
もっとも排出量が多い事業所は、石炭を利用するJERAの碧南火力発電所(愛知県碧南市)です。この発電所だけで日本全体の2%にあたるCO2を排出。家庭からの排出量の636万世帯分にあたります。上位30事業所のうち石炭火発が11事業所を占めています。
排出量2位のJFEスチール西日本製鉄所福山地区をはじめ、製鉄所が上位30事業所中、11事業所となりました。
製鉄所は鉄鉱石と石炭などから鉄鋼を作り出す高炉方式から電炉方式に移行することで、エネルギー消費量は3割削減でき、CO2排出量は4分の1に減ります。政府が補助金や税制優遇などで移行を促すことで、大幅にCO2排出量を削減できます。
日本共産党は「2030戦略」で、30年の石炭火発ゼロへ新規増設を中止し、既存施設を段階的に廃止します。業界・企業に対しCO2削減目標と計画、実施状況の公表などを「協定」として政府と締結し、国民への公約とすることを提案しています。「協定」の対象となるのはCO2排出量の多い6業界、200程度の大規模事業所です。ここの脱炭素化が日本のCO2削減に決定的に重要です。
CO2排出 上位すべて発電と製鉄
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CO2排出を削減するためには電力事業と産業界でのとりくみが重要です。環境省の資料によると、CO2排出量の分野別割合は発電所(電力事業)で39%、工場などの産業が25%を占めています。(グラフ①)
電力事業のうち石炭火発はとりわけ大量のCO2を排出します。
環境省の資料によると、CO2排出係数(発電量あたりのCO2排出量)は0・733~0・867となっており、液化天然ガス(LNG)を使った火力発電の0・320~0・415の2倍にも及びます。(グラフ②)
また製鉄所を含む鉄鋼業は産業部門のCO2排出量のうち4割を占めています。この結果、日本のCO2排出量上位30事業所はすべて発電所と製鉄所が占めています。(表)
日本では鉄鉱石から鉄を作る高炉方式が7割以上を占めています。高炉方式は鉄鉱石から銑鉄をつくる際、石炭由来のコークスを使うため、大量のCO2を発生させるのです。一方、電炉は鉄スクラップを材料に鋼を作り出します。石炭を使わないのでCO2排出量が少なくなります。(清水渡)
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