2021年10月14日(木)
水産庁幹部 接待要求か
クロマグロ漁めぐり 業界団体が証言
田村貴昭議員に
水産庁のキャリア官僚が、厳しく漁獲規制されているクロマグロ漁に関して業界団体幹部に空約束をし、見返りに接待を要求した疑いが13日までに判明しました。日本共産党の田村貴昭衆院議員に業界団体幹部らが証言したもの。
接待を受けたのは、マグロはえ縄漁の許可を所管する当時のかつお・まぐろ資源室長(現新潟漁業調整事務所長)と部下1人です。水産庁は9月28日に二人を利害関係者から接待を受けたことで処分しました。
クロマグロの資源管理をめぐっては、漁獲量の厳しい総量規制が行われています。来年1月からは、はえ縄漁に過去の実績に基づいて船ごとに漁獲できる量を割り当てる「IQ制度」の導入が予定されています。
新規参入者でつくる全日本マグロはえ縄振興協会の安岡克己代表理事によると、3月10日に室長らと面会。その際、協会側が「これでは過去の実績がない新規参入者は破産する。存続できる制度にしてほしい」と訴えたところ、室長は「つぶすような制度には絶対しない」と明言したとされます。さらに室長は「私はワインしか飲まない」と何度も暗に接待を要求したといいます。協会側は同日、神戸市内の高級料亭とワインバーで1人当たり計14万6080円の接待をしました。
しかし同月26日の説明会で室長は、罰則付きのIQ制度導入の説明を一方的に読み上げ、質問に答えることなく退席したといいます。
協会所属の漁師(41)は「水産庁は絶対大丈夫と言ったのに、結局IQ導入はほぼ決まってしまった。この制度ではほとんど取れない。借金をして船の建造準備に投資してきた。従業員や妻子も抱えている。毎晩眠れない」と窮状を訴えています。
田村氏は「小規模漁業に対する一方的な規制は混乱を招くと警告してきた。しかも、接待があったのは、私が国会で鶏卵業界からの政治家・官僚の接待を追及した直後だ。鶏卵業者から接待をうけた官僚を不問に付した現状が組織の退廃を招いている」と指摘しています。
水産庁は田村氏のヒアリングに「告発に値するような事実は確認していない」としています。