2021年10月15日(金)
「核抑止」固執 「核使用」の本質隠す
代表質問 首相の答弁
12日の衆院本会議で、日本共産党の志位和夫委員長の代表質問に対し岸田文雄首相は、「核抑止」とは「核兵器の存在によりもたらされる抑止のことだ」と答弁しました。
しかし、核抑止とは、核兵器を「使う」ことを前提に相手を脅し、いざという時に破滅的な核で相手を攻撃するというのが本質です。シュルツ元米国務長官は「『核抑止』とは核兵器の使用を前提とした議論だ」と発言しています。
日本政府は、核兵器が「非人道的」な兵器であることを認めながら、いざという時には広島・長崎を襲ったのと同様の惨禍を新たに生むこともためらわない「核抑止」論に固執するという矛盾を抱えています。
岸田首相はこれまで「広島出身の首相だ」と強調し、「核のない世界」を実現するために「米国に訴えかける」などと述べてきました。しかし、逆に米国に「核抑止」を維持・強化するよう働きかけてきたのが実態です。
2009年2月、米議会で開かれた「米戦略態勢に関する諮問会議」で日本政府は、当時のオバマ政権が進めていた水上発射型核ミサイル・トマホークの退役に反対。地中貫通型兵器などの具体的な兵器名をあげて、アメリカの核態勢の強化を求めています。
16年には、オバマ大統領が相手が核を使用しない限り核兵器を使用しないという「核先制不使用宣言」を戦略に据えようとしたことに、日本政府は「抑止力を弱める」と反対したことも明らかになっています。
「核抑止」に固執しながら、「核のない世界」を同時に口にする―。欺瞞(ぎまん)そのものです。(さ)