2021年10月24日(日)
辺野古新基地 沖縄県が行政措置52件
2015年以降 防衛局すべて拒否
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、翁長雄志(おなが・たけし)・玉城デニー両県政が2015年以降、法的根拠の取り消しや「違法工事」などを指摘した行政措置に対し、国(防衛省沖縄防衛局)が従わず、工事を強行した事例が、のべ52件に上っていました。日本共産党県議団が県から入手した資料で判明しました。
「オール沖縄」県政が新基地反対の民意に沿って、粘り強く対処してきたことと同時に、安倍・菅自公政権が法治主義・地方自治を破壊してきたことを裏付けています。総選挙の野党共通政策は「辺野古新基地建設の中止」を明記しており、政権交代が決定的な力になります。
県の資料によると、15年10月以降、法的権限のある行政処分が4件、法的拘束力はないものの、法的な不備を埋めるための行政指導や協議の求めなどが、のべ48件となっています。
行政処分は、公有水面埋立法に基づく埋め立て承認の取り消し、撤回がそれぞれ1件、県の漁業調整規則などに基づくサンゴ移植の許可取り消しが2件。国はいずれも、私人の権利救済のための行政不服審査法の悪用で、県の権限を執行停止しました。
また、行政指導や協議の求めは、仲井真弘多元知事が13年12月に埋め立て承認をした際の留意事項(工事の実施設計、環境保全措置で県と協議を行うことなど)違反や、埋め立て承認が取り消し・撤回された下での「違法工事」のため、工事中止などを求めたもの。沖縄防衛局はそのすべてを無視してきました。
多くの公共工事に関わった国土交通省OBはこう指摘します。「国が事業者の場合、許認可権限を持つ県に申請するのは免許ではなく承認。つまり、問題があれば国が協議に応じる“性善説”が前提だ。ところが、防衛局は日米同盟最優先でこれを踏みにじり、地域住民の意思、地方自治の尊重、憲法・法律の順守もみられない」
辺野古新基地をめぐり、沖縄県が沖縄防衛局に対して行った行政措置⇦防衛局は全て従わず
■行政処分(いずれも知事およびその代理発出)
【翁長県政】
15・10・13 埋め立て承認取り消し
18・8・31 埋め立て承認撤回
【デニー県政】
21・7・30 サンゴ特別採捕許可取り消し(2件)
■行政指導、協議の求め(一部重複、のべ48件)(1)は知事、(2)は土木建築部長が発出
【翁長県政】
15・11・2(1) 留意事項の違反/協議の求め/工事の中止
17・2・10(2) 留意事項違反/工事の停止
〃 (2) 協議の求め/工事の停止
2・22(2) 留意事項違反/工事の停止
3・14(2) 協議の求め/工事の停止
3・28(1) 汚濁防止膜の設置中止
4・21(2) 工事の停止/サンゴの保全対策
5・8(2) 協議の求め/留意事項違反/工事の停止
7・10(2) 留意事項違反(護岸工事)
7・25(2) 協議の求め/留意事項違反工事の停止
〃 (2) 協議の求め/工事の停止/留意事項違反
8・25(2) 留意事項違反/工事の停止
10・2(1) 立ち入り調査/護岸工事で事前協議の求め
10・31(2) 環境保全措置で疑義照会。工事停止・協議の求め
11・8(2) 工事の停止
12・5(2) サンゴに関し立ち入り調査求める
12・19(2) 奥港を利用した海上搬送の停止
18・4・9(1) N3護岸着工で懸念
5・23(1) 工事停止、留意事項順守
6・22(1) ただちに工事停止/協議の求め
7・17(1) 即時工事停止
【デニー県政】
12・12(1) 違法工事、留意事項違反(土砂投入に対して)
12・21(1) 〃 即時中止/立ち入り調査・土砂の提供
〃 (2) 〃 土砂投入中止/立ち入り・土砂性状調査
19・1・11(2) 〃 土砂投入中止/土砂性状に疑義
1・25(1) 〃 土砂投入停止/土砂撤去、海域調査の指導
〃 (2) 〃 立ち入り調査、性状調査
3・29(2) 〃 〃
6・11(1) 〃 工事中止/法令順守の欠如
〃 (2) 〃 土砂の投入停止
〃 (2) 〃 土砂の運搬停止
12・5(2) 〃 工事中止(フロート撤去)
20・4・17(1) ジュゴン鳴音確認に伴う事業停止
6・4(2) ジュゴンへの影響の再調査
6・25(1) ジュゴン保護まで事業停止
12・24(2) スパッド台船など運用停止/協議の求め
21・7・30(1) サンゴ移植の中止
8・6(1) サンゴ移植の適切な時期選定