2021年10月26日(火)
主張
総選挙と農業・農村
米価大暴落止め再生へ転換を
収穫の秋に空前の米価暴落が農村を襲っています。農協が農家に払う概算金で1俵1万円を下回る銘柄が続出し前年の半値以下になるものも出ています。米作りも地域経済も崩壊しかねません。自民党・公明党政権による長年の米作つぶしの政策にコロナ禍が加わり農村の危機を深刻にしました。総選挙は農業・農村の再生へ政治を転換する絶好のチャンスです。
政府は過剰米買い入れよ
暴落の原因はコロナ禍による需要の急落で過剰在庫が積み上がったことです。自公政権はこの問題に一切手をつけず、もっぱら生産者に犠牲を強いる減産で対処してきました。2021年産米の生産を前年より36万トンという過去最大規模で減らす必要があるという指針を昨年示し、米農家の自己責任として達成するよう自治体や農業団体を通じて迫りました。
この減産は、米農家に多大な負担と苦痛を強いることでほぼ達成されましたが、コロナ禍が長引き、過剰在庫は解消どころか積み上がる一方でした。
米価暴落を止め、回復させるには、政府が米の緊急買い入れを実施し、過剰在庫を市場から隔離することが必要です。買い上げた米を、コロナ禍で生活に困窮する人や学生、子ども食堂などに大規模に供給する仕組みをつくれば、生活支援に役立ちます。
安倍晋三・菅義偉政権は緊急買い入れによる市場隔離を一貫して拒否し、岸田文雄政権も「備蓄米を需給操作のために運用することは制度の趣旨に合わない」(13日参院本会議での答弁)と無責任な方針に固執しています。
岸田政権は、在庫として残る20年産米に15万トンの「特別枠」を設け、22年秋以降まで長期保管し、保管料などを支援するという方針を打ち出しました。販売を先送りさせるだけです。販売時点では古古米なので値引きが必要となります。22年産米が減産を迫られるのも必至です。いずれも農家の損失、負担を増やします。
自公政権は過去最大の減産を押し付けながら、需要の1割に及ぶ77万トンものミニマムアクセス米の輸入を続けています。中止すべきですが、首相は拒んでいます。米作を守る姿勢が全くありません。
主食である米の需給と価格安定に政府が責任を持つのは当然です。生産費をつぐなう米価を実現しなければなりません。
日本共産党は、生産コストと販売価格との差額を補填(ほてん)する「不足払い制度」の創設を提案しています。野党は、自公政権が廃止した戸別所得補償の復活を共同で要求しています。実現は急務です。
政権交代で基幹産業に
日本農業の中心的な担い手はこの20年間で240万人から136万人に減少しました。担い手の約50%が70歳以上です。日本を持続可能な社会にするため農業と農山村の再生は待ったなしです。米国や財界の言いなりに農産物の輸入を自由化し、農業経営の基盤を壊してきた自公を退場させるしかありません。
日本共産党は綱領で「農業を基幹的な生産部門として位置づける」と明記しています。市民と野党の共通政策は「農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する」と掲げています。政権交代で、持続可能な農業、将来に希望を持てる農村を築きましょう。