2021年10月29日(金)
4つのチェンジで希望ある日本を
(3)ジェンダー平等の日本
働くルール整えます
女性の賃金 男性の6割
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日本共産党は、ジェンダー平等社会の土台となる男女賃金格差の是正を実現しようと総選挙での躍進を訴えています。(田代正則)
「基本給があまりに低い。いまは残業代がほとんどないので手取り16万円ほど」(日立、30代女性)
「賃金が今後上がる見込みが立たない。とてもつらい」(ルネサス、30代女性)
電機労働者懇談会(電機懇)の春闘アンケートには、毎年、大企業でも女性の賃金は低すぎると、悲痛な訴えが寄せられます。
半導体大手ルネサスでは、従業員の女性比率は世界全体で26%に対し、国内で15%にとどまります。管理職の女性比率は世界6・9%、国内3・1%と、日本が足を引っ張っています。
平均的な50代の男性技術職が位置する主任、係長クラスの賃金は、裁量労働制の残業代相当を含め、月額42万円程度。女性事務職は25万円程度と推計でき、17万円の格差になります。年収差は一時金格差が加わり、350万円。女性は男性の6割を切ります。
ルネサスに半導体部門を統合した日立・三菱電機・NECの女性差別の人事制度が影響しています。
ルネサスの前身のひとつ、NECエレクトロニクスでは、男性総合職の「A職」に対して、短大卒や高卒の女性社員の多くが技術補助や事務職の「B職」に割り当てられました。B職の昇格は最高でも係長級まで。そこまで昇格できるのはごく一部でした。
ルネサスは2014年、政府出資ファンドの産業革新機構の指導の下、人事制度を改革。その結果、B職の女性たちは、さらに低賃金になりました。かつて月額30万円程度までの昇給があった職位の女性が、現在の職位では25万円を超えた程度で頭打ちです。政府の関与で男女賃金格差を悪化させました。
女性が昇格をめざそうとしても、長時間労働の高い壁があります。
ルネサスで、主任クラス以上に昇格した労働者の在宅勤務のガイドラインには「自己裁量により勤務時間を管理・決定してください」などと指示されています。
「上司から、深夜や早朝にメールが送られている」など、昇格すると24時間関係なく働かされる実態に、「家庭と両立できない」という声があがっています。
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評価隠れみのに
成果主義のもとで、評価を隠れみのにしたジェンダー差別が起こっています。黒字リストラを続ける日立グループは、50代女性に対して「スキルがない」との口実で「追い出し部屋」に入れました。
表計算ソフトのエクセルの自己研さんを強いて、「どこの職場も引き取り手がない」などと暴言をあびせるパワハラで退職を強要しました。
電機・情報ユニオンの中村由紀子神奈川支部委員長が女性の相談を受けました。中村さんは、日立男女賃金差別裁判の元原告です。「私たちの争議和解(2002年)で、一定の是正がはかられましたが、成果主義に隠されたジェンダー差別が残っています」
中村さんは、「会社は、この女性を補助的業務にしかつけず、スキルを身に付ける教育機会をつくりませんでした。そのため賃金も初任給からほとんど上がっていません。それを口実に退職強要するのは許されません」と強調します。
電機・情報ユニオンは、女性差別のパワハラ・リストラをやめさせるよう省庁要請を行い、会社とも団体交渉を重ねました。
この10月1日から、女性は「追い出し部屋」から別の職場への異動を実現しました。女性は明るくなり、ユニオンでは、不慣れな業務で能力不足などの不当な評価をしないよう労使での確認を続けようと話し合っています。
たたかい一緒に
転勤もジェンダー格差の障害です。日立では2019年、有期雇用で働く女性労働者が5年無期転換を申し込む際に、海外転勤にも応じることを求めるなど、過剰な条件を提示。転勤に応じると答えても会社が解雇を通告して、無期転換を阻む事件が起こりました。
中村さんは、「日立本社への申し入れに、日本共産党のはたの君枝前衆院議員(比例南関東、神奈川10区候補)が同行してくれるなど、職場のジェンダー平等のために一緒にたたかってくれるのが、日本共産党です」と強調。「総選挙で、共産党躍進と、野党共闘による政権交代を実現し、さらにジェンダー平等を前進させたい」と期待を寄せました。
日本共産党政策 「ジェンダー平等の日本へ」から
▽企業に男女賃金格差の実態の把握・公表と、その是正計画の策定・公表を義務付けます。
▽女性が多く働く介護・福祉・保育などケア労働の賃金を引き上げます。
▽非正規から正社員への流れをつくるとともに、非正規雇用の労働条件改善と均等待遇を進めます。派遣は一時的・臨時的なものに限定し、常用雇用の代替を防止します。最低賃金を1500円に引き上げ、そのために中小企業への支援を抜本的に強化します。
▽実質的な女性差別を横行させている転勤や長時間労働による間接差別をなくします。
▽家族的責任と働くことを両立できる労働のルールをつくります。「8時間働けばふつうに暮らせる社会」にします。看護休暇や育児介護休業制度を拡充します。
▽ハラスメントを明確に禁止し、なくします。実効ある法整備を進め、働く場での暴力とハラスメントを広く禁じたILO190号条約を批准します。