2021年11月4日(木)
私大の補助金削減狙う
財務省、定員割れ口実に
財務省は1日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の部会に、定員割れが続いている私立大学に対する一般補助の減額幅を拡大する案を示しました。定員の充足率が変わらなくても、3年以上充足率が低い状態が続いた場合、減額幅を毎年拡大します。
私大に対する一般補助は、教職員の給与や教育・研究費といった経常経費を補助するものです。自公政権はこの間、定員割れした私大に対する一般補助を連続改悪してきました。定員充足率85%の場合、減額率は以前の4%から現在は15%へ拡大しました。
財務省は今回、複数年にわたって定員充足率が低い場合、減額率を深掘りする案を提示。定員充足率85%が5年連続で続くケースでは、2年目までは減額率を15%に据え置くものの、3年目以降は毎年減額幅を拡大します。
少子化などの影響で、地方大学をはじめ私大の約半数が定員割れに苦しんでいます。財務省の主張は、地域振興や人材育成に私大が果たしている役割を無視し、乱暴に淘汰(とうた)を進めようとするものです。
財務省はまた、国立大学の基盤的経費である国立大学法人運営費交付金についても、この間「選択と集中」の名で進めてきた傾斜配分を強めようとしています。
国立大学の学長らでつくる国立大学協会は傾斜配分について「大学の教育研究活動の基盤を不安定化させ、その水準向上等をかえって阻害する」と廃止を求めています。
しかし、財務省は大学同士が資金獲得を競うことで活力や個性豊かな大学が生まれるとし、「メリハリ強化」の名による運営費交付金の傾斜配分強化に固執しています。傾斜配分が教育・研究に与えた影響については財務省自身「検証は困難」としており、あまりに無責任です。
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