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2021年11月11日(木)

賃上げ口実に負担増も

公的価格評価検討委など初会合

 政府は9日、首相官邸で、岸田政権の下で新設した「全世代型社会保障構築会議」と、看護や介護、保育職の賃上げを協議する「公的価格評価検討委員会」の初会合を合同で開きました。賃上げ議論の対象となる「公的価格の制度」として、診療報酬、介護・障害福祉報酬、子ども・子育て新支援制度の公定価格を明示。賃上げを口実にさらなる庶民負担増となる危険も浮かび上がりました。

 岸田文雄首相は、処遇改善策を「安定財源確保の道筋と合わせて考え、年末までに中間整理のとりまとめを」と指示しました。

 賃上げのために診療報酬や介護報酬を引き上げれば、医療の窓口負担や介護利用料の値上げにつながります。日本共産党など野党は、介護・障害福祉従事者の処遇改善を全額国負担の助成金で行う法案を提出(2020年)しています。

 内閣官房の社会保障改革担当室は会合後の記者会見で、賃上げによる医療・介護・保育のサービス価格引き上げの可能性を問われ、「当然、価格設定には影響してくると考えている」と回答。賃上げを口実に、さらなる庶民負担増を迫ってくる恐れがあらわになりました。

 構築会議は、安倍・菅政権下で社会保障の改悪を推進した全世代型社会保障検討会議の後継組織。17人の構成員から「負担能力のある高齢者には支え手に回ってもらう発想も必要。全世代型社会保障改革こそ分配戦略の柱となるべき」「コロナ禍の教訓を踏まえ、地域医療構想の推進など医療改革が必要」「雇用を軸としない制度も検討したらどうか」など、さらなる改悪を求める発言が相次ぎました。

 検討委は6人で、現場で働く当事者や関係団体は入りませんでした。政府は賃上げ議論の土台として、厚生労働省の賃金構造基本統計調査に基づく「職種別平均賃金」を提示。同資料によれば、20年の全産業平均月35・2万円に対し、看護師は39・4万円、介護職は29・3万円、保育士は30・3万円でした。(役職者除く。時間外勤務などの手当含む)


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