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2021年11月24日(水)

主張

フリーランス増加

生活と権利守る法整備が急務

 配達、プログラマー、インストラクターなどフリーランスで働く人が増え、政府の調査で462万人と推計されています。その多くがコロナ禍で一方的な報酬カットや契約打ち切りに苦しんでいます。無権利状態を政府が野放しにすることは許されません。生活と権利を守る法整備が急務です。

「使い捨て」をなくせ

 「店が休みになり仕事をキャンセルされた。報酬の補償はない」「通訳の仕事がなくなり翻訳も激減した」―労働問題の研究者や法律家でつくる「非正規労働者の権利実現全国会議」が行ったアンケートにはフリーランスの悲痛な声が寄せられました。

 仕事のキャンセルや契約解除にあっても補償がなく収入を失う例が後を絶ちません。政府による個人事業主向け給付金はきわめて不十分です。

 多くのフリーランスが民法上の契約関係による事業主とされ、労働者の権利を認められず使い捨ての働き方です。日本共産党は国会で、料理配達代行サービス「ウーバーイーツ」の実態を取り上げ、労災保険がない、賃金の規定がなく最低賃金も適用されない、団体交渉権の保障がない―といった問題を指摘し、権利ゼロの働き方をなくすよう政府に迫りました。

 海外ではフリーランスや、短期・単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」の権利を守る法律の制定や裁判の判決が相次いでいます。

 ドイツでは2020年12月、連邦労働裁判所がギグワーカーの一部を雇用者と認定しました。韓国ではギグワーカーに雇用保険を適用する法律が可決されました。フランスでは労災保険への加入、職業訓練、労働組合への加入の権利を認めた法律が16年に制定されました。いずれも、フリーランス、ギグワーカーの「労働者性」を認めて権利を守る流れです。

 国際労働機関(ILO)は06年の「雇用関係に関する勧告」(198号)で、雇用関係が不確実な地位に置かれた労働者を国が保護すべきだとしています。日本でも勧告に沿った仕組みをつくることが求められます。

 フリーランスの労災保険の加入は当然です。使用者の企業が保険料負担を含めて労災に責任を持つ仕組みをつくるなど労災補償を拡充する必要があります。労働契約には、賃金の最低保障や休業手当の支給など労働条件の明示が厳守されなければなりません。団結権、団体交渉権、ストライキ権も保障されるべきです。

 労働者として企業の指揮・命令を受けて働いているのに「個人請負」契約の形をとり、社会保険の加入など労働者としての権利を奪う違法・脱法行為(名ばかり個人事業主)は厳しく取り締まらなければなりません。

安心して働ける仕組みを

 岸田文雄政権は19日に閣議決定した経済対策の中に「フリーランスが安心して働ける環境を整備する」ことを盛り込みました。契約の明確化など保護法制を含む措置を講じると言います。

 しかし、3月に政府が策定したフリーランスについてのガイドラインは、どういう場合に雇用関係に該当し労働者として保護されるかの判断基準が狭すぎて権利の確立につながらないと批判されています。フリーランスが安心して働ける実効ある仕組みが必要です。


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