2021年12月1日(水)
600人雇い止め 理研は撤回を
ネット署名2万人に
研究活動に支障 増員こそ
理化学研究所(松本紘理事長)が約600人の研究系職員の雇い止めを強行しようとしている問題で、理化学研究所労働組合や市民らでつくる「理研の非正規雇用問題を解決するネットワーク」が取り組んでいる雇い止め・雇用上限の撤回を求めるネット署名が約2万人に達し、広がっています。
2013年の労働契約法改定により、研究者は有期契約が10年を超えた場合、労働者の申し出があれば無期雇用契約に転換することが使用者に義務付けられました。しかし、理研は無期転換権を与えないために2016年、就業規則を一方的に変更して10年の雇用上限を研究者に押し付ける不利益変更を行いました。
このままいけば23年3月末に約300人の研究者が雇い止めになり、そこに含まれる研究室・研究チームの責任者が雇い止めになることで研究系職員も雇い止めになるため、合計で約600人が雇い止めされる危険が浮上しています。
同ネットワークは、「約4800人の理研職員の8分の1にあたる600人が一度に雇い止めになれば、研究活動に支障が出ることは明らかだ」と指摘。署名に賛同した人からは続々とコメントが寄せられています。
「科学の進歩にとって大切なのは人です。雇い止めはやめてください」「研究者の減少は日本の科学技術の衰退につながります。増員を求めてもいいくらいです」と記しています。
「今までの間違った政策が日本の研究開発力をそいできました。学術の振興は安定した雇用からです」「科学立国としての根幹を揺るがすゆゆしき事態です。研究は内容によっては軽く数十年はかかるものです」など、日本社会の未来を支える科学技術の発展に逆行するとの意見が相次いでいます。
「前代未聞の学術会議会員6人の任命拒否と同様の行為をいつまで繰り返すのか。科学は文化国家の基礎である」との意見も。
雇用不安にさらされる非正規雇用労働者からも、「非正規にとって人ごとじゃないです。同じようなことを起こさないためにもここで食い止めたい」との意見が寄せられています。
同ネットワークは、無期転換逃れのための雇い止めは労働契約法の趣旨に反しており、就業規則による不利益変更は合理的理由がない限り認められないことが判例でも原則になっていると強調。「雇い止めは明白な違法行為」だと批判しています。
同ネットワークは11日午後2時から、600人の雇い止め中止を求めるオンライン集会を開催します。理研労の金井保之委員長、水口洋介弁護士が報告するほか、国会質問で取り上げた日本共産党の田村智子副委員長が連帯あいさつします。申し込みは同ネットワークまで。