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2021年12月2日(木)

三沢F16 タンク投棄

「日本防衛」と無縁の中東派兵部隊 事故繰り返す

これが安保

 11月30日夜、米空軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機が燃料タンク2個を投棄し、うち1個は同県深浦町の民家近くに落下・破損して燃料もれを起こした上、青森空港に緊急着陸し、民間機7便を運航停止させるという重大事故が発生しました。11月23日には、普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属のMV22オスプレイが住宅地に水筒を落下させたばかりです。

“我慢しろ”

 F16をめぐっては、▽18年2月に同県東北町の小川原湖で燃料タンク2個を投棄し、シジミ漁などが1カ月間停止▽19年11月に同県六ケ所村の民有地に模擬弾を落下―など、重大事故が立て続けに発生しており、もはや異常事態です。

 さらに、深浦町沖では2002年4月に墜落事故が発生するなど、F16は1985年の三沢基地への配備以来10機が墜落。同機の低空飛行に伴う爆音により、秋田県内の養鶏場で比内地鶏がパニックになり圧死する事故も繰り返されています。

 日本政府は今回の事故で米側に「遺憾の意」(松野博一官房長官)を表明し、「安全性が確認されるまでの飛行停止を要請」(防衛省)するものの、米軍の横暴な訓練自体は「抑止力維持のため」として容認しています。“日本を守るための訓練だから、多少のことは我慢しろ”という姿勢です。

横暴野放し

 しかし、F16を運用する第35戦闘航空団は、1991年の湾岸戦争からイラク・アフガニスタンの「対テロ」戦争、最近のIS掃討作戦にいたるまで、30年近くにわたり中東での戦地派兵を継続してきました。同航空団ホームページでも、自らの任務を「世界規模で展開する部隊」だと規定しており、今後も必要であればいつでも海外展開できる態勢を整えています。

 また、同航空団はF16について、敵地の「地対空ミサイルを含む防空網破壊・制圧に特化」された部隊だと説明しています。真っ先に敵地に侵攻し、敵を無力化するための部隊であり、「防衛」とは無縁の存在です。そうした任務を遂行するために高強度の訓練を繰り返し、爆音や事故で住民に深刻な被害を与えているのです。

 「日本を守るため」どころか、日本防衛とは無縁の海外派兵のための訓練で日本国民の生命・財産を脅かす―日米安保体制の正体が如実に現れました。日本政府の「安保絶対」「日米同盟絶対」の思考停止の下、米軍の横暴が野放しにされています。(竹下岳)


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