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2021年12月20日(月)

時給1090円 夜間ボーナス 有休30日 時間外連絡NG…

スペイン 食事宅配配達員 労働条件を明示

二大労組が会社側と合意

 【ベルリン=桑野白馬】スペイン二大労組の労働総同盟(UGT)と労働者委員会(CCOO)は17日、アプリを利用した食事宅配会社「ジャスト・イート」と、配達員の時給や自家用車を使用した際の保険料の規定導入で合意しました。今年5月、アプリを利用した食事宅配の配達員を従業員とみなす「ライダー法」が発効したことを受けた国内初の動きです。労働環境の改善を求めてきた2労組は合意を「歴史的」と歓迎しています。


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(写真)ジャスト・イートとの合意締結後、記者会見に臨む労組と会社の代表。右端は労働者委員会(CCOO)サービス部門のマルティネス書記長=17日、マドリード(CCOOのツイッターから)

 合意文書では、ジャスト・イートの配達員の時給を8・5ユーロ(約1090円)と規定。フルタイムで働く配達員の月額給料は1269ユーロ(約16万3000円)となり、現行の最低賃金を100ユーロ以上、上回ることになります。夜10時から朝6時までの配達には、夜間ボーナスとして時間給の25%が上乗せされ、有給休暇は年30日確保されます。国内約2000人の配達員に適用されます。

 配達に使う車両は原則会社側が用意。従業員が自分の車両を使用する場合は、会社側が燃料費、メンテナンス費、保険料として1キロ当たりバイクに19円、電動自転車13円、自転車には7円を支払います。配達員に携帯電話を提供しなければならないとしています。

 「正当化できる例外的な状況でない限り」「労働時間外に労働者と連絡をとってはならない」とも規定。ライダー法に従い、配達員の評価を左右する人工知能のアルゴリズム(計算方法)の情報を配達員に提供するため、企業側、配達員側それぞれ2人が「アルゴリズム委員会」を設立することも盛り込まれました。

 ライダー法の制定に尽力してきたディアス副首相兼労働相はツイッターに「素晴らしいニュースだ。デジタルプラットフォームを利用した新しい働き方においても、労働者の権利を守ることができる」と投稿しました。

 ジャスト・イート・スペインのパトリック・サインス最高責任者は「この合意が将来、食事配達分野での正式な協約の前例となることを期待している」と述べました。

 欧州連合(EU)の欧州委員会は9日、スマホのアプリで単発の仕事を請け負う配達員ら「ギグ・ワーカー」が、正社員と同等の扱いを受けられるようにする法案を発表。同様の動きが欧州で広がる可能性もあります。


日本では無権利

 日本では、個人請負形式の労働者の多くは労働関係法令が適用されず、最低賃金や労働時間の規制もありません。とくに安倍政権からこうした無権利の働き方を増やす政策を進めており、保護強化の世界の流れに逆行しています。


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