2021年12月23日(木)
賃上げ 追加目標なし
公的価格中間整理 看護・介護・保育職
看護や介護、保育職などの賃上げを協議する政府の公的価格評価検討委員会は22日、中間整理を取りまとめました。2021年度補正予算に盛り込まれた当面の「3%」(看護師は1%)賃上げ後のさらなる引き上げ目標について、具体的な数値は示さず、“必要な人材が確保できる水準”などの抽象的な表現にとどまりました。
政府の担当者は、引き上げ幅や方法など具体的な検討は各分野の審議会に委ねるとしており、岸田文雄首相が掲げた「公的価格の抜本的な見直し」からは程遠い結果となりました。
中間整理は、介護・障害福祉職員、保育士等・幼稚園教諭について、補正予算による月9000円(月収の3%程度)引き上げ後も「全産業平均から乖離(かいり)がある」と指摘。「さらなる処遇の改善に取り組むべきだ」としつつ、「最終的な目標は、仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されていること」と曖昧な表現にとどまりました。時期についても「2020年代に注力すべき」だと先送りしました。
看護師の賃金水準は「従前より全産業平均を上回る」と指摘。補正予算では月4000円(1%程度)だった一部医療機関での賃上げを3%程度まで行うことと、他産業と比べて低い管理職の処遇改善に向けた検討を促すだけでした。
財源については、既存の関連予算や医療・介護費の分配のあり方の見直しなどを検討すべきだと主張。現場から要望が強かった配置基準の具体的な見直しには触れない一方、「さらなる財政措置を行う前に」税や保険料の「使途の見える化」とデジタルやICT技術による効率化が必要だとして、この2点について来夏までに課題を整理するとしました。