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2021年12月25日(土)

主張

22年度予算案決定

岸田政治の新たな危険を示す

 岸田文雄政権として最初の当初予算となる2022年度政府予算案が閣議決定されました。一般会計で107・6兆円と過去最大です。20日成立した21年度補正予算と一体で、「16カ月予算」と位置付けられています。補正と当初をあわせた歳出規模は143・6兆円に上ります。莫大(ばくだい)な税金を投入しながら、新型コロナウイルスの感染拡大に対応する医療機関や暮らしへの支援は不十分で、社会保障予算は高齢化による自然増を削減します。軍事費は過去最高を更新する5・4兆円を計上するなど、岸田政権の新しい危険を浮き彫りにしています。

税財政のゆがみ拡大

 国民の税金を使う財政の大きな役割は、景気の調整や所得の再配分です。予算は時の政権の政治姿勢を示します。

 36兆円の21年度補正予算は、大企業支援と軍事費に大盤振る舞いしながら、コロナ対策では個人への現金給付も事業者への支援も規模が小さい上に必要な人には届かず、困窮している暮らしと営業を救うには程遠いものでした。

 22年度当初予算案も、コロナから国民の命と健康、生活を守るという最優先課題の予算が決定的に不足しています。コロナ対策は予備費の5兆円が中心です。個人や事業者への給付金は盛り込まれていません。生活困窮者への給付金の拡大、中小業者への持続化給付金や家賃支援給付金の再支給などを実行すべきです。

 社会保障予算は、コロナに対応する医療や保健所を支える対策が極めて弱く、国民に冷たい中身です。自然増分を2200億円も削減します。医療機関の収入に直結する診療報酬はマイナス改定です。病床削減の推進も改めません。脆弱(ぜいじゃく)さがあらわになった医療提供体制をいっそう悪化させます。75歳以上の高齢者の医療費2倍化は来年10月から実施します。所得再分配機能の逆行の極みです。

 10年連続増額で過去最大の軍事費は、補正と合算すると6兆円を突破します。岸田政権が前のめりになっている「9条改憲」の動きとも連動し、日本を「戦争する国」に引きもどす危険な企てです。岸田政権は歴代政権の憲法解釈に反して「敵基地攻撃能力の保有」の検討を公言しており、巡航ミサイルの開発や戦闘機の増強を進めます。アジアの軍事的緊張を高めるとともに、国民に重い負担を押し付ける大軍拡は許されません。

 コロナのなかで、日本の消費税に当たる「付加価値税」を減税する国が相次いでいますが、岸田政権はそうした要求にも応えようとしません。低所得者ほど負担が重い逆進的な消費税は、安倍晋三政権下の度重なる増税で、税収に占める割合は20年度以来3年連続最大の税目になる見込みです。岸田政権は大企業向けには「デジタル」化などの名目で減税します。大資産家向けの金融所得課税の見直しはやりません。税の不公平を拡大するばかりです。

組み替え求め運動を

 岸田政権の新たな危険が浮き彫りになる中で、国民に冷たい予算の組み替えを求め、世論と運動を強めることが急務です。

 軍事費を削って、暮らしと福祉、教育の予算を増やせ。消費税減税を―いまこそ声を上げましょう。税財政のゆがみを正し本来のあり方を取り戻すことが重要です。


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