2022年1月10日(月)
2022年 日本共産党はこうたたかう
NHK「党首に問う」 志位委員長の発言
9日放送のNHK日曜討論「党首に問う」での日本共産党の志位和夫委員長の発言は次の通りです。聞き手は伊藤雅之解説委員、井上あさひアナウンサーです。
井上 日本共産党の志位委員長です。よろしくお願いいたします。
志位 おはようございます。
新型コロナ
ワクチンと検査、医療・保健所体制の強化、米軍の入国停止・基地外出禁止を
井上 感染が拡大する新型コロナの現状、そしていま必要な対策についてどう考えますか。
志位 3点、求めたいと思います。
第一は、高齢者と医療従事者に対する3回目のワクチン接種が遅れている。最大限の迅速な接種と、それからもう一つは、無症状者に対する「誰でも、何度でも、無料で」受けられるPCRの体制を全国的につくること、これを一刻も早くやることを求めたい。
第二は、「自宅で医療が受けられないまま亡くなる」ということを二度と繰り返してはならない。そのために、入院病床の確保、地域の医療体制の強化、保健所体制の強化、これを自治体まかせではなくて、国の責任でしっかりやる。
第三は、水際対策の「大穴」が米軍基地になっているという問題です。この問題は、昨年12月に沖縄県の玉城デニー知事が首相に対して、「米国からの(米軍関係者の)入国の停止」と「基地の外への外出の禁止」、これを(米側に)求めるように要請したにもかかわらず、何もやってこなかった責任は重いと思うんです。いまからでも米側にきちんとした具体的な対応を求める。そして日米地位協定の改定が必要だと思います。
支援は対象も規模もまったく不十分――抜本的な拡充を求める
伊藤 コロナの影響を受けている生活に困っている方、あるいは事業者への支援、十分だと考えますか。
志位 私は、まったく不十分――対象も規模も不十分だと(思います)。
困っているすべての方に届く支援、そしてご商売が続けられる支援に、抜本的な拡充を求めたいと思います。
「新しい資本主義」
新自由主義から転換し、“やさしく強い経済”をつくろう
伊藤 その経済政策ですが、岸田総理が掲げる「新しい資本主義」、これを共産党はどう評価しますか。
志位 (首相は)「新しい資本主義」とおっしゃるんですが、さきほど(の発言を)聞いておりましても、中身は新しくも何ともないなと(思います)。
従来の破綻した新自由主義を続ける、それに加えて、ばく大な補助金を出して半導体の企業を誘致するなど、新しい財界支援のひどい政治をやろうとしているというのが、中身だと思うんですね。
私たちとしては、新自由主義を本当に転換して、“やさしく強い経済”をつくろうということを訴えていきたいと思うんですよ。
長年にわたる新自由主義は、日本の社会を「自己責任」押し付けの「冷たい社会」にしてしまいました。同時に、賃金が上がらず経済成長ができない、感染症など危機に弱い、健全な競争力のない、「脆(もろ)く弱い経済」にしてしまったと思うんですね。
ですから、ここはもう大転換をして、そして大改革をして、雇用、社会保障、税制、環境、ジェンダー、あらゆる分野で新自由主義をもう終わりにして、“やさしく強い経済”をつくろうということを訴えていきたいと思います。
中国とどう向き合う
軍事対軍事でなく、東アジアを平和と協力の地域にしていくための平和外交を
井上 外交安全保障について聞きます。国交正常化から50年となる中国との関係をどう考えますか。
志位 中国が、いま東シナ海、南シナ海でおこなっている覇権主義の行動に対しては、国連憲章と国際法に基づいて冷静な外交的な批判をおこなうということが、何よりも大事だと思います。
これに対して、軍事に対して軍事で構えるということやりますと、軍拡競争の悪循環になって、衝突や戦争につながりますから、こういう道はきっぱり退ける必要がある。どんな問題も平和的な話し合いで解決する、そして平和的な共存の道を探求していく、平和外交に徹するということが大事だと思います。
この点で大きな鍵になっているのは、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国とアメリカ、中国、日本など8カ国でつくる東アジアサミットなんです。いまASEANはこの東アジアサミットを強化して、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望しようという壮大な構想を提唱しています。
私は、日本政府がいまやるべきは、「敵基地攻撃」とかそういう物騒なことではなくて、ASEANの諸国と連携して、東アジアサミットを活用・強化して、東アジアを平和と協力の地域にしていく、そのための(憲法)9条を生かした平和外交だということを強くいいたいと思います。
日米関係
「敵基地攻撃」とは全面戦争で日本に戦火を呼び込むことに
伊藤 アメリカとの関係ですけれども、政権は防衛費も含めて、日米の同盟の関係の強化、この流れについて、共産党はどう考えますか。
志位 この流れのなかでいま出てきている「敵基地攻撃能力」の保有、これは、たいへんに危険だと思っております。
国会で、私たちが聞きますと、(政府は)「敵基地攻撃」というのは、“相手国の領域にまで踏み込んでいって、まずレーダーなどを破壊して制空権を確保したうえで、相手のミサイル基地をしらみつぶしに攻撃する一連のオペレーションだ”という答弁をするわけですね。
つまり、1発ミサイルを撃つという話じゃないんです。全面戦争をやるということなんです。そうなりましたら、相手から報復がきますよね。まさに、日本に戦火を呼び込むことになるわけです。私は、そういうやり方は断固反対です。
通常国会にどう臨む
“やさしく強い経済”、外交提案、気候危機打開、ジェンダー平等を訴えたい
井上 通常国会にどう臨むのか、論戦の焦点についてどう考えますか。
志位 先ほど、“やさしく強い経済”というふうに話したんですけれども、大いに具体化する論戦をやっていきたい。それから、東アジアの平和と協力についての外交提案も出していきたいと思っております。
同時に、気候危機打開とジェンダー平等――この二つの問題で、私たちはかなりまとまった政策を出して、この間、訴えてきまして、とくに若い方を中心に反響が強いですね。この二つの問題もしっかり位置付けてやっていきたい。
この二つの問題は、これをやることが、結果として、“やさしく強い経済”をより豊かにするということにもなると思うんですね。アイスランドはジェンダー(平等)は世界一ですよね。それがやはり強い経済につながっているというふうにもいわれています。ですから、この問題をそういう角度でも重視して位置付けて論戦をやっていきたいと思っております。
参院選の目標
比例で650万票・5議席を必ず、選挙区でも東京を守り、大きく前進目指す
井上 夏の参議院選挙、何が問われる選挙だと考えますか。また、具体的な目標についてはいかがでしょうか。
志位 いまの岸田政権は、結局、安倍・菅政治の延長ですよね。沖縄に対する強権政治もそうですし、政治腐敗についてもそうですし、経済(政策)もそうです。この政治は変えなくてはいけない。
ですから、私たちは岸田政権と対決して、自民・公明とその補完勢力をできるだけ少なくしていく、少数に追い込むことを目指す、そして政権交代の足掛かりをつくる選挙にしていきたい。
同時に、日本共産党自身は、「比例を軸に」ということで頑張って、「650万票、10%以上」を確保して、比例で5議席の絶対確保、そして選挙区でも東京の現有を守って大きく前進させたいというふうに決意しております。
野党共闘
「対等平等」「相互尊重」の原則が大事、早い段階で共闘の体制をつくる
伊藤 さらに夏の参議院選挙についてですが、立憲民主党などとの協力ですね、これをどう考えるか、簡潔にお願いします。
志位 32の1人区では、最大限、野党統一候補の実現のために努力をしたいと思っております。
そのさい、総選挙の教訓も踏まえて二つが大事だと(考えます)。
一つは、やはり参加する政党が、「対等平等」、「相互に尊重しあう」、これをやってこそはじめて力が出ますから、この原則が大事になってくる。
もう一つは、早い段階で共闘の体制をつくる。これをやりませんと、遅れてしまっては、なかなか浸透しません。国民に訴える時間も足りません。
しっかりとした共通政策、また政権協力の合意、これらを踏まえつつ、いまの2点を重視して、共闘の体制をつくっていきたいと思っております。
伊藤、井上 ありがとうございました。
志位 どうもありがとうございました。