2022年1月29日(土)
建築物省エネ法先送りに批判
気候危機の対策は待ったなしなのに
社会の脱炭素化を進める柱の一つとして議論・準備されてきた、建物の省エネにかんする法律案が今国会に提出されていないことに、疑問や批判の声があがっています。夏の参院選を控え会期延長を避けようと政府・与党が先送りしたとの見方もあり、市民や研究者らは「気候危機の対策は待ったなし。今からでも提出を」と求めています。
建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律)案は、国会議員に配られた概要説明によると、(1)新築の住宅の断熱、再エネ設備の導入、(2)脱炭素効果の高い木材の利用―などを促進、25年から義務化します。同法案について昨年11月の閣議決定は「省エネルギー基準の適合義務化など住宅・建築物分野における脱炭素化に資する法案の次期国会提出を目指す」と明記、12月の国土交通省の有識者会議でも大臣への答申案が了承されていました。
ところが今年1月の国会開会の直前に法案は、「提出予定」から「検討中」に格下げ。気候ネットワークの桃井貴子東京事務所長は、「欧州と比べ周回遅れの日本は一刻も早く制度をつくり実装すべきなのに」とあきれます。制度改正に備えてきた全国の工務店も「提出見送りの経緯を教えてほしい」と困惑気味です。
国交省側は「今国会で審議可能となれば提出する」としています。東北芸術工科大学の竹内昌義教授は「2030年までにCO2を46%削減という政府目標は今のペースでは達成できない。住宅に関しては、実質ゼロエネルギー化は現在の技術で可能。日本の本気度が問われている」と話しています。