2022年2月23日(水)
「黒い雨」救済・厚労省が新指針
差別と分断生む
広島市は、広島の原爆による「黒い雨」被害者救済について厚労省が作成した「新指針」を22日までに公表しました。救済される対象は、広島の「黒い雨」に遭ったこと、11種類の障害を伴う一定の疾病のいずれかにかかっていることが確認できることなど―を要件に、4月1日から運用するとしています。
被爆者健康手帳の効力は、今年3月31日に申請した場合でも新基準の適用日は同年4月1日以降になり、4月以降の申請については、申請日になるとしています。これまで被爆者健康手帳の効力は申請日にさかのぼっていましたが、これも外されたかたちです。
新指針は、84人の原告と「同じ事情にあった方々」について11疾病などの条件を付け、差別を持ち込み、さらに長崎の原爆被害者を対象から外しました。
広島高裁判決は、「原爆の放射能の影響により健康被害を生じることを否定できない場合には被爆者と認める」としており、新指針は広島高裁判決を無視し、被爆者援護法をゆがめるものです。
日本原水爆被害者団体協議会や「黒い雨」被害者を支援する会、長崎被爆地域拡大協議会などは、これまで厚労省が示した新指針案に抗議し、県、市に再考を求めてきました。高齢化した原爆被害者をさらに分断することは許されないと批判しています。