2022年3月21日(月)
「まん延防止等重点措置」解除へ
「医療ぎりぎり」現場は危機感
感染 第5波ピーク時の1.7倍
政府は、新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置を21日を期限に全面解除します。新規感染者数のピークは過ぎたものの依然として感染者数は高止まりしています。医療提供体制に余裕がない状況が引き続く中で、医療従事者らは、感染の再拡大が起きれば医療崩壊を招くと危機感を募らせています。(小酒井自由)
東京都が17日に開いた新型コロナウイルスのモニタリング会議。専門家からは「新規感染者は緩やかに減少傾向にあるものの、いまだ第5波のピーク時の約1・7倍の数値だ」「高齢者が入院患者数の約7割を占め、医療従事者への負荷が増大している」など現状を示し、重点措置解除後の医療提供体制への影響を危惧しました。そのうえで、「歓送迎会やお花見など年度末前後のイベントによる人の移動、接触機会の増加などの影響を受ければ、感染が再拡大する恐れがある」と指摘しています。
日本共産党東京都委員会の新型コロナ対策本部長の谷川智行医師は、「医療機関は深刻な医療崩壊という状況からようやく脱し、必要な医療が提供できるかどうかの、ぎりぎりの状況にあります」と指摘します。
子どもや若い世代の感染が引き続き多く、病院職員が感染したり濃厚接触者になったりする事例も多いと指摘。「私が勤務する病院では、職場によっては看護師の1割以上が常に勤務できない状況にあり、診療の縮小を余儀なくされています。今も医療崩壊と隣り合わせです」と重点措置解除に懸念を示しました。
感染再拡大 不安
医療の現場は
死者最多の大阪
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新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置の解除について、大阪でも不安の声があがっています。
大阪府は、18日時点のコロナ死者数が4449人で全国最多。同日の新規感染者は3865人です。
大阪市内にある内科・消化器内科「うつのみやクリニック」院長で大阪府保険医協会の宇都宮健弘理事長は「現状はようやく落ち着いてきました」と言います。
現在は、コロナ対応として発熱の受診者を1日1人診察する程度になってきたと言いますが、第6波を振り返ると…。
「出務している特別養護老人ホームで集団感染が起きました。感染者を入院させたくても病院のベッドが満床で苦労しました。ようやく1人入院させることができたけれど、入院先で亡くなってしまいました」
同市では保健所が一つしかなく、第6波で業務はひっ迫し必要な措置が取られなくなりました。コロナ病床もひっ迫し、適切な医療が提供できませんでした。
宇都宮理事長は、自公政権が社会保障抑制政策を推し進める中、病床削減され人員不足に陥ることになったと批判します。いまだに検査体制は不十分なままで治療薬も確立されていないとし、「年度末や5月の大型連休に感染の再拡大が予想されます。特養の関係者や医療関係者はみな、コロナ対策がおろそかなままの重点措置解除に不安を抱いています」と強調しています。