2022年3月24日(木)
ロシアのウクライナ侵略と「赤旗」報道(下)
「核共有」など逆流を正面から批判
「核共有」撤回せよ
ロシアのウクライナ侵略に乗じて、安倍晋三元首相や日本維新の会などは米国の核兵器を共同管理する「核共有」論を持ち出しました。「敵基地攻撃能力保有」や9条改憲を狙う動きも活発になっています。
これを正面から批判し、憲法9条にもとづく平和構築の道を示しているのが、日本共産党であり、「赤旗」報道です。「同盟強化論 世界に逆行」(2月27日付)「国連・9条への攻撃はどこに行き着くのか」(同28日付)などの論評を連打しました。
安倍元首相の「核共有」発言もいち早く批判。国会でも、井上哲士参院議員が「危機に乗じて核兵器を保有・配備する議論は許されない」(3月3日付)と主張しました。
志位委員長は、維新の会が「核共有提言」を政府に出すと、「日本を核戦争に導く危険 維新は『核共有提言』撤回せよ」(4日付)と迫りました。「核による脅威に核で対抗しようというもので、プーチン政権と同じ立場に身を置くことになる」と批判し、被爆国の政党の資格はないと断じました。また、「非核三原則は昭和の価値観」などとした松井一郎・維新代表の発言についても「非核三原則の精神を、世界的規模で条約にしたのが核兵器禁止条約」だとのべ、「21世紀のメインストリーム(主流)にあるのが非核三原則であり、核兵器禁止条約だ」と批判しました。
弁護士で伊藤塾塾長の伊藤真さんは、17日付の「焦点・論点」で、“あらゆる戦争は「自衛」の名目で正当化され、始まります。政府が「自衛」の名において他国へ軍事侵攻をできないようにしたのが憲法9条”だと9条の意義を語りました。
「産経」と「読売」は
これに対して、全国紙では、「核共有」を正面から批判した論陣は見当たりません。「非核三原則の墨守で日本の安全保障が揺らぐなら見直しが必要になる。核共有も含め、日本をめぐる核抑止態勢が万全かどうか率直に議論する時期にきている」(1日付主張)と「核共有」発言を擁護し後押しする「産経」は論外にしても、「読売」は12日付社説まで沈黙したうえで、「(核共有論で)一足飛びに論点を拡散させ、議論の混乱を招くことは避けなければなるまい」とし、「敵基地攻撃能力」の検討が「先決」だと尻をたたいています。「朝日」「毎日」も、プーチンの核脅迫発言を批判する社説のなかで「安倍元首相が不見識極まりない発言をした」(「朝日」1日付)、「耳を疑う発言が飛び出した」(「毎日」2日付)と指摘した程度。維新の提言は論じてもいません。
「赤旗」の真価発揮
日本を核戦争の危険に導く危険な議論にたいして、正面から批判する議論が大手紙に見当たらないなか、憲法9条の立場にたって批判の論陣を張る「赤旗」の役割は明白です。
「赤旗」は、逆流を批判するとともに、世界と日本の反戦行動を細大漏らさず報じています。なかでも中高生や学生など若い世代の反戦活動は多くの読者を励ましています。また、日本に在住したり、周辺国に避難しているウクライナの人、またウクライナ国内に残る囲碁棋士、隣国ポーランドで支援にあたる人などを取材し、ロシアによる侵略を告発し、戦火にまきこまれた人々の思いや願いを伝えてきました。
こうした「赤旗」報道は、いまのロシアのような戦前の弾圧体制のもとでも反戦平和を貫いてきた歴史と伝統にたったものです。揺るがずに反戦平和を貫いてきた「赤旗」の真価をこれからも発揮していきます。(藤田健)
(おわり)