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2022年3月30日(水)

主張

安保法制施行6年

日本を戦場にする策動許すな

 安倍晋三政権が憲法の平和主義と立憲主義を破壊し強行した安保法制=戦争法が施行されてから29日で6年が経過しました。中国が軍事的圧力を強める下、台湾有事を想定した米軍と自衛隊の共同作戦計画の策定や共同訓練の実施など、日米軍事一体化の動きが急速に進み、安保法制の危険性がますます明らかになっています。

南西諸島が攻撃の対象に

 今年1月、日米の外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が開かれました。会合後に出された共同発表文書は、インド太平洋地域の安全保障上の課題に「(日米が)かつてなく統合された形で対応するため、戦略を完全に整合させ」、「(中国の)地域における安定を損なう行動を抑止し、必要であれば対処するために協力する」と、共同で対処することを強調しました。

 同時に、会合では「同盟の役割・任務・能力の進化および緊急事態に関する共同計画作業についての確固とした進展を歓迎した」とし、日米共同作戦計画の策定が進んでいることを示唆しました。

 台湾有事を想定した日米共同作戦計画については、共同通信が昨年末、米軍と自衛隊が原案を策定したと報じていました(沖縄タイムス同年12月24日付など)。

 それによると、原案の内容は▽台湾有事の緊迫度が高まった初動段階で、米海兵隊が南西諸島に臨時の攻撃用軍事拠点を置く▽軍事拠点の可能性があるのは約40カ所で、陸上自衛隊がミサイル部隊を配備している鹿児島県の奄美大島、沖縄県の宮古島や配備予定の石垣島も含まれる▽軍事拠点を置くのは、中国軍と台湾軍の間で戦闘が起き、日本政府が安保法制に基づき、日本の平和と安全に重要な影響が出る「重要影響事態」と認定した場合になる▽軍事拠点に海兵隊は対艦攻撃ができる高機動ロケット砲システム「ハイマース」を置き、自衛隊は輸送や弾薬提供、燃料補給など後方支援を担い、米空母が展開できるよう中国艦艇を排除する―などとなっています。

 同報道は、「実行されれば南西諸島が攻撃対象となるのは必至」と指摘しています。

 共同作戦計画の原案は、米海兵隊が島しょに小規模な部隊を迅速に分散展開させ攻撃拠点を作り、制海権を確保する「遠征前進基地作戦」(EABO)に基づくものです。米軍と自衛隊はこの間、EABOに基づく共同訓練を繰り返しています。今月も、沖縄の米第31海兵遠征隊と日本版海兵隊である陸自水陸機動団が東富士演習場(静岡県)などで日米それぞれが保有するオスプレイも使い、離島への上陸訓練を実施しました。

敵基地攻撃能力の使用も

 台湾有事では自民党内などから、軍事介入する米軍が攻撃を受けた場合、日本の存立が脅かされる危険があるとし、自衛隊が、集団的自衛権の行使=直接の武力行使ができる安保法制の「存立危機事態」に当たる可能性があるとの指摘も上がっています。

 ロシアによるウクライナ侵略や北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に乗じて保有論が強まっている「敵基地攻撃能力」が、日本が直接攻撃されていない「存立危機事態」で使用される恐れもあります。

 安保法制廃止と立憲主義の回復はいよいよ急務になっています。


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