しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年4月1日(金)

主張

元公明議員に有罪

「違法な仲介」実態解明尽くせ

 日本政策金融公庫の新型コロナ対策融資を違法に仲介したとして、貸金業法違反(無登録営業)の罪に問われた元公明党衆院議員の遠山清彦被告に東京地裁は執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。判決は、仲介件数が多く融資額も多額だったことなどを指摘し、「政治活動としての陳情対応の域を明らかに超えている」と批判しました。遠山被告は仲介の際、一部業者から謝礼の現金を受け取っていました。コロナ禍に苦しむ人を支える制度を自らの利益を得るために使った許し難い犯罪です。捜査任せにし、党として解明に動かない公明党の責任も免れません。

国会議員の影響力を背景

 遠山被告は2020年3月~21年6月ごろ、111回にわたって無登録で日本政策金融公庫の融資を仲介しました。このうち82回は単独で、29回は政治ブローカー=貸金業違反罪で公判中=と共謀しました。秘書や共犯者らに寄せられた融資希望に幅広く無限定に応じ、秘書らに指示して多数の融資希望者を公庫に紹介しました。

 融資の実行額は約37億円にのぼります。判決は「規模が極めて大きい媒介行為」であり、「登録制としてその業務の適正化を図った貸金業法の趣旨にもとる犯行」と認定しました。

 違法な仲介の大半は国会議員在職中に行われました。判決は「国会議員としての影響力を背景とするものであったにもかかわらず、その違法性に思いを致すことなく、その一部につき謝礼の趣旨を含む金銭を受領していたのであるから、高い倫理観が求められる当時の立場等にも照らすと、相応の非難を免れない」と断じました。検察は公判で、遠山被告が仲介の謝礼などとして現金約1000万円を受け取ったと指摘しています。

 コロナ対策の融資をめぐり、違法な仲介をして金銭を受けとったことは、コロナ禍で苦境にある業者から「ピンハネ」して私腹を肥やした行為に他なりません。

 一方、事件の全体像の解明は尽くされていません。遠山被告は、安倍晋三元政権下の19年9月~20年9月まで財務副大臣でした。日本政策金融公庫は財務省の所管です。所管省庁の副大臣に就任したことと、違法な仲介との関係も問われなければなりません。

 遠山被告の公判で、検察側は、日本政策金融公庫が国会議員から紹介があった案件については、円滑・丁寧な特別対応をしていた実態を明らかにしました。一連の事件では、公明党の太田昌孝前衆院議員の元政策秘書なども貸金業法違反罪で起訴されています。公庫をめぐる疑惑を国会で徹底究明することが必要です。

党としての責任問われる

 遠山被告は公明党の幹事長代理など要職を務めました。同党は今年1月、遠山被告を除名したものの、事件の独自調査はせず、解明に背を向けています。判決後、「猛省」「おわび」や再発防止のルール徹底と言いますが、遠山被告の違法行為がなぜ引き起こされたのか、納得できる説明をしていません。自ら調査し結果を公表することは公党としての責任です。

 公明党は、安倍政権以降に続発した「政治とカネ」疑惑についても、自民党と一体となって解明を拒んできました。清潔な政治の実現のためにも自公政権を終わらせることが不可欠です。


pageup