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2022年4月15日(金)

主張

プーチン氏の会見

許しがたい侵略戦争完遂宣言

 ロシアのプーチン大統領が12日の記者会見でウクライナ侵略について記者の質問に答え、野蛮な侵略を正当化しました。国連憲章、国際法には一言も触れず、平和の国際秩序を乱暴に踏みにじったことへの反省は皆無です。目的を達成するまで戦争を続けることも宣言しました。

あからさまな覇権主義

 重大なのはプーチン氏が、ウクライナの独立を否定する大国主義、覇権主義の主張を展開していることです。ロシア、ウクライナ、ベラルーシを「三位一体の民族」とし、ウクライナの「極端な民族主義」が分断を図っているとしています。およそ通用しない議論です。

 今回の侵略については、ウクライナの極端な民族主義から同国東部のロシア系住民を救うための「特別軍事作戦」と言い張りました。親ロシア勢力支配地域の「分離・独立」をロシアが承認した後は「ウクライナによる占領に等しい」とすら述べています。国連憲章が定めた国際秩序の原則とまったく相いれない考えです。

 国連憲章は他国への侵略を禁じ、紛争の平和的解決を加盟国に義務づけています。他国の一部地域の「独立」を一方的に承認し、その勢力を支援して派兵することに何の道理もありません。

 ウクライナ東部では2014年から「分離・独立」を宣言する親ロシア勢力とウクライナ軍との間で武力紛争が続き、多くの民間人が犠牲になってきました。15年にはウクライナ、ロシア両国政府に、欧州の安全保障問題に取り組む欧州安保協力機構(OSCE)が加わって紛争解決をめざすミンスク合意が結ばれました。

 合意の履行は進みませんでしたが、それをもって侵略を正当化することはできません。東部地域の紛争を政治的に解決する枠組みを完全に破壊した点でもロシアの侵略は許されません。

 戦争犯罪と糾弾されているロシア軍によるおびただしい民間人虐殺についてプーチン氏は「フェイク」と決めつけたものの、事実を示した反論はできません。

 「ウクライナでの行動は敵の抑止だけが目標で、軍事インフラを破壊する攻撃だ」と言います。ならば跡形もなくなった街や1000万人を超える避難民は何なのか。プーチン氏こそ偽情報の宣伝をやめるべきです。

 交戦中であっても文民の保護をはじめ人道上のルールがジュネーブ条約などで定められています。国際刑事裁判所(ICC)がすでに捜査を進めています。国際人道法に反する犯罪行為は責任を厳しく追及されなければなりません。ロシアは国際機関の調査を受け入れるべきです。

国際法守れの声で結束を

 プーチン氏は記者会見で「当初の目標を達成するまで軍事作戦を続ける」とさらなる攻撃を公言しました。これ以上、残虐、非道な侵略戦争を続けさせるわけにいきません。

 国連総会でのロシア侵略非難決議は141カ国の賛成で採択されました。世界の圧倒的多数がロシアの侵略に反対しています。侵略を止めるためには国連憲章と国際法に基づいて国際社会が結束し、侵略の停止と即時、無条件、完全撤退をロシアに迫ることが何よりも重要です。


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