2022年4月17日(日)
“学術会議の「呪縛」打破を”
自民議員 調査会で訴え
軍事研究参加へ“圧力”
自民党安全保障調査会(会長、小野寺五典元防衛相)で、軍事目的の科学研究を行わないとの声明を出している日本学術会議に対して、同党議員が「呪縛」だとして「打破」を訴える発言をしたことが16日、分かりました。学術会議法は同会議が独立して職務を行うと定めています。自民議員の発言は同会議の独立性を脅かしかねないものです。(三浦誠)
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同調査会は、政府が改定予定の国家安全保障戦略などについて自民党の提言を取りまとめるために議論しています。これまでの会合では、産学官一体でAI(人工知能)や無人機など先端技術の研究開発に重点投資することが、論点としてあげられています。
13日の会合で配布された資料によると、議員から「学術会議の『呪縛』を打破しないことには省庁間の壁も破れない。産学官一体と言っても、防衛省・自衛隊は混ぜてもらえていない」との発言があったとされています。
学術会議は1950年と67年に軍事目的の科学研究を行わない旨の声明を出しています。2017年にはこれらを「継承する」とした声明を決定しています。自民議員の発言は、産学官一体の軍事研究を進める立場から、学術会議の姿勢を敵視したものとみられます。
20年には菅義偉首相(当時)が、学術会議が推薦した会員候補の任命を拒否し、「学問の自由」に介入。さらに同会議に研究成果が民生にも軍事にも使われる「デュアルユース」(軍民両用)の検討を求めるなど、自公政権は軍事研究参加への圧力を強めてきました。