2022年4月17日(日)
沖縄市長選きょう告示 24日投票
平和な島訴えるモリ山氏か
基地強化進める自公政権いいなり現職か
沖縄県沖縄市長選が17日告示(24日投票)されます。前市議で「人にやさしいまちづくり市民の会」のモリ山政和候補(73)=日本共産党、社会民主党、沖縄社会大衆党、立憲民主党、「新しい風・にぬふぁぶし」推薦=と、自民党・公明党政権丸抱えの現職、桑江朝千夫氏(66)=自公推薦=の一騎打ちの見込みです。
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戦争か平和か―。ロシアによるウクライナ侵略をめぐり、日本の進路が根本から問われる情勢のもとでの市長選。「オール沖縄」の強化発展、玉城デニー知事と連携し、市民に寄り添い基地のない平和で豊かな沖縄市に変えようと訴えるモリ山候補か、「戦争する国づくり」を大合唱して戦争への道を突き進む岸田自公政権いいなりの現職か。対決構図は鮮明です。
自公政権は、ウクライナ危機に乗じて「日米同盟」の強化と憲法9条改悪を叫び、「敵基地攻撃」能力の保有を検討しています。集団的自衛権行使を可能にする安保法制の下で、米国が戦争を始めれば、米国の相手国に対し、自衛隊が米軍と一体に「敵基地攻撃」を仕掛けることも可能になります。
■爆音や汚染
今年で本土復帰50年を迎える沖縄県には、現在も在日米軍専用施設面積の約70%が押し付けられ、名護市辺野古では米軍新基地建設が強行されています。沖縄市の総面積の34%は嘉手納基地などの米軍基地に占められています。米軍による無謀な演習が拡大し、宮古島や石垣島へのミサイル基地配備など、自衛隊の増強も進められています。
米中対立と「台湾有事」があおられるなか、市民は、ウクライナの現状をかつての沖縄戦と重ねて心を痛めるとともに「沖縄が戦場になるのでは」と、不安を募らせています。
モリ山候補は「ウクライナの状況を見ても、戦争になれば犠牲になるのは住民だ。基地があるがゆえに不幸につながっていく。軍隊は住民を助けない」と述べ、基地反対、日米地位協定の改定を強調。「沖縄の民意を踏みにじる辺野古新基地建設に断固反対だ」と力強く訴えています。
県が21年度に県内の米軍基地周辺で実施した人体に有害な有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)の夏季調査では、沖縄市内3地点すべてで、国の暫定指針値を超えました。3地点のうち最も値が高かった地点では指針値の22倍も検出されています。
嘉手納基地周辺の住民は、騒音被害を訴え、同基地における夜間・早期の飛行禁止と爆音に伴う損害賠償を求めて今年1月、3万5000人以上の原告団が「第4次嘉手納爆音訴訟」を提訴しました。
モリ山候補は、米軍機の騒音問題や、PFASによる環境汚染の問題に全力で取り組むとし、これらの問題を「しっかり政府に訴える首長になる覚悟だ」と力を込めます。
一方、現職は、自民党県連の幹事長代理時代に米軍普天間基地(同県宜野湾市)の「県外移設」の公約を投げ捨て、県民を裏切って辺野古への「移設」推進へと転じた人物。公約ビラには市民の命と暮らしを脅かしているPFASへの対策もなく、基地の騒音被害にもほとんど対応していません。
嘉手納爆音訴訟原告の一人で沖縄市在住の女性(74)は「最近も夜11時過ぎまで米軍ヘリが飛んでいた。怖い。(米軍機は)いつ落ちてもおかしくない。住民の命が脅かされているのに政府は何もしてくれない。今の市長はとんでもない」と話し、モリ山候補に期待を寄せました。
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■暮らし応援
暮らしの問題でも、現市政のもとでは大型公共工事が進んだ一方、沖縄市の1人あたりの市民所得は、県内41市町村中39番目の低さです。
モリ山候補は「誰ひとり取り残さない沖縄市をめざす」と表明。デニー知事とタッグを組んで18歳までの医療費無償化を実現させ、学校給食費無償化や市民所得を10%以上向上させることを公約しています。
返済義務のない給付型奨学金の拡充、保育士の処遇改善による待機児童解消、性的マイノリティーの支援に取り組むことなども掲げています。
新型コロナ対策では、「デニー知事と力を合わせて困難な状況で暮らす方々を支える」として、新型コロナ総合相談窓口を設置し、ワンストップでスピード感を持って経済・医療支援を行うことを約束しています。
今回の市長選が選挙権を持ってから初めての投票になる青年(18)は、18歳までの医療費無償化など、「今の市長が実現できなかったことをモリ山さんに実現してもらうため、選挙に勝つように頑張ってほしい」と話しました。
■自公は躍起
選挙戦は、激しい総力戦の様相となっています。現職陣営は、菅義偉前首相や自民党国会議員、公明党の古屋範子副代表らが沖縄市入りするなど、政権総がかりで組織戦を展開。「期日前投票で決着をつける」(公明党沖縄県本部代表・金城勉県議)と執念を燃やしますが、肝心の基地問題の争点化は避けています。
デニー知事は15日夜に行われたモリ山候補必勝の総決起大会で、「ぜひ、モリ山さんを市長にして、私と一緒に誰ひとり取り残すことのない沖縄県らしい、沖縄市らしい、人にやさしい街づくりを実践させてください」と呼びかけました。
沖縄市では、昨年の衆院選でオール沖縄の屋良朝博候補が、自民党公認・公明党推薦候補とわずか35票差で激しく競り合いました。
日本共産党沖縄県委員会は「オール沖縄と党の総力をあげて猛奮闘すれば、必ず勝利できる」との確信で総決起。7月の参院選、9月の県知事選、沖縄の統一地方選の勝利・躍進につなげるためにも、自公政権・現職にノーの審判を突き付け必ず勝ち抜こうと後援会とともに全力をあげています。