2022年4月24日(日)
主張
蛮行重ねるロシア
断じて許されない無差別攻撃
ロシアがウクライナ南東部のマリウポリ市に無差別攻撃をかけ、制圧を宣言しました。市長は、10万人以上の住民が市内に取り残され人道危機に陥っていると訴えています。国連憲章を踏みにじった侵略開始から24日で2カ月になります。ロシア軍高官は、ウクライナ東部と南部の支配をめざすことを宣言しました。断じて許すことはできません。ただちにすべての部隊を撤退させなければなりません。
独立国と認めぬ大国主義
マリウポリではウクライナ部隊が立てこもるアゾフスタル製鉄所をロシア軍が包囲し、その中に多くの市民が避難していると伝えられます。ウクライナ側は民間人を外部に避難させる「人道回廊」の設置を求めたものの、実現していません。
ロシアのプーチン大統領は製鉄所への突入をやめて一帯を完全封鎖するよう命じました。民間人を含めて大勢を水、食料の補給もない場所に閉じ込める作戦です。
ジュネーブ条約をはじめ国際人道法は戦時であっても武力攻撃の対象を軍事施設に限定し、民間施設への攻撃を禁じています。しかしロシアは市民が避難していたとされる学校、劇場や病院を含めて市を丸ごと破壊し、多数の民間人を殺害しました。国際人道法違反に問われる行為です。
マリウポリ市長は市民4万人以上がロシア軍によってロシアや、ウクライナの他のロシア支配地域に移送されたと非難しています。事実ならば、これも重大な戦争犯罪です。
国連総会は3月2日の侵略非難決議に続いて同月24日には、民間人、民間施設攻撃をただちにやめるようロシアに求めた決議を採択しました。プーチン大統領は国際社会の総意に従うべきです。
ロシアはマリウポリがウクライナの「極右民族主義者の拠点」になっていたとしていますが、侵略を正当化する理由になりません。そもそもプーチン大統領がウクライナを独立国と認めていないことが最大の問題です。
同大統領は昨年7月に発表した論文で「ロシア人とウクライナ人は一つの民族、一体不可分」と公言し、ウクライナが1991年にソ連崩壊に伴って独立したことを非難し、「ウクライナの真の主権はロシアとのパートナーシップの下でこそ可能である」と一方的に述べました。同国の主権、自決権を否定する大国主義の主張です。
ウクライナ東部ドネツク、ルガンスクの一方的「独立」承認(2月21日)にあたってプーチン氏が表明したのもウクライナがロシアにとって「不可分」とする特異な考えです。
侵略をただちにやめよ
国連憲章は「すべての加盟国の主権平等」を大原則とし、他国の領土や政治的独立に対する武力行使を禁止しています。隣国を勝手に自国の一部とみなして侵略することなど決して許されません。
ロシアは20日、新型大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功したと発表し、プーチン大統領が「わが国を脅かす者をためらわせるだろう」と宣言しました。国際社会への露骨な核使用の威嚇です。
ロシアがウクライナで生物・化学兵器を使用する危険性も指摘されています。無法を重ねる侵略は即刻中止すべきです。