2022年5月20日(金)
平和と暮らし―共産党躍進のうねりを
参院選政策の骨格を発表
志位委員長が記者会見
日本共産党の志位和夫委員長は19日、国会内で記者会見し、夏の参院選に向けた共産党の政策の骨格を発表しました。
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憲法9条をいかす平和外交を
志位氏が、政策をまとめた「赤旗」号外を示して説明した大きな柱の第一は、「戦争の心配のない東アジアへ――憲法9条をいかす平和外交を」という主張です。
志位氏は、国連憲章を蹂躙(じゅうりん)したロシアのウクライナ侵略が続くなかでの参院選になっていることから、「まさに戦争か平和か、日本の進路が問われる選挙になってきます」と述べ、次の4点を訴えたいと表明しました。
第1は、「ロシアは侵略をやめよ」「国連憲章を守れ」――この一点で全世界が一致団結することです。志位氏は、バイデン米大統領の「民主主義対専制主義のたたかい」というスローガンや、岸田文雄首相の「価値観を共有するG7(主要7カ国)主導の秩序を回復する」などの主張について、「あれこれの『価値観』で世界を二分するのではなく、国連憲章に基づく平和秩序を回復する――この一点で全世界が団結することが必要です」と強調しました。
第2は、核兵器の問題です。ロシアのプーチン大統領が核兵器で世界を再三威嚇する状況のもとで、「核兵器には核兵器で対抗する」という危険な議論が日本で起きていることを強く批判。その根底にあるのが「核抑止」=核兵器を持てば相手の核使用を抑えられるという議論です。
志位氏は、この議論には致命的な問題点として、いざというときには核兵器を使用し、広島・長崎のような非人道的惨禍を引き起こすこともためらわないことを前提にした議論になっていると強調。「そういう議論を唯一の戦争被爆国・日本の政府が唱えるのは恥ずかしいことです。まして『核共有』の議論をなどと公言し、非核三原則を投げ捨て、『非核二原則でいい』などと唱える政党は、被爆国の政党失格です」と厳しく批判。「核抑止」の呪縛を吹き払って、核兵器禁止条約への参加を訴えていくと表明しました。
第3は、憲法9条改定による「戦争する国」づくりを許さないことです。自民党が「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と名前だけ変え、攻撃対象を「敵基地」だけでなく「指揮統制機能等」にまで広げたのは、「専守防衛」を投げ捨て、全面戦争に乗り出すものだと強く批判。11兆円以上もの大軍拡を狙う自民党の方針は、社会保障大幅切り下げと消費税大増税で暮らしを押しつぶすとして、「日本共産党を伸ばして断固ストップと訴えていきたい」と表明しました。
第4は、戦争を起こさないための9条を生かした外交に知恵と力を尽くすことです。志位氏は、東南アジア諸国連合(ASEAN)が中心になって取り組んでいる東アジアサミット(EAS)の枠組みを活用・強化し、いずれは東アジア規模の友好協力条約を結び、東アジアを戦争の心配のない平和の地域にしていく「外交ビジョン」を太く訴えていくと述べました。
物価高騰から生活まもる
大きな柱の二つ目は、「物価高騰から生活をまもる」ことです。
志位氏は、ひどい物価高騰の原因は、「新型コロナ」と「ウクライナ侵略」だけではなく、「異次元の金融緩和」による異常円安が物価高騰に拍車をかけるなど、まさにアベノミクスの失政だと批判。さらに、生活がこんなに苦しいのは、賃金は上がらず、年金は下がり、教育費は高すぎるなど、弱肉強食の新自由主義を続けてきた結果だとして、「冷たく弱い経済」から「やさしく強い経済」へと根本的に切り替える五つの提案を示しました。
第1の提案は、消費税率の5%への緊急減税とインボイス導入の中止です。志位氏は、生活必需品高騰のもとで、一番打撃を被っている所得の少ない方々を支援する最も効果的な手だては消費税減税だと強調しました。
第2の提案は、中小企業支援と一体に最低賃金を1500円に引き上げることです。アベノミクスで膨らんだ大企業の内部留保に課税すれば(1)大企業減税の不公正をただす(2)適切な控除を設け、賃上げとグリーン投資を促進する(3)10兆円の税収増で一気に最賃を1500円に引き上げる―の「一石三鳥」の効果が期待できると説明しました。
第3の提案は、社会保障と教育拡充の提案です。志位氏は、物価高騰のもとでの6月からの年金の0・4%削減はまったく非合理だと批判し、年金削減はストップし、年金の底上げを図り、高齢者医療費2倍化も中止すると表明。教育では大学の学費半減、入学金廃止、給付奨学金の拡充に加え、「義務教育無償」をうたった憲法26条にもとづき国の制度として小中学校の給食費負担をゼロにします。
第4の提案は、気候危機打開です。志位氏は「原油や電気料金の高騰はエネルギーを外国に頼ることの危うさを示しています」と強調。「国産100%の再生可能エネルギーに大規模に置き換える。それをやる上でも原発は即時ゼロにし、石炭火力から撤退する政治決断を求めていきたい」と表明しました。
第5の提案は、「ジェンダー平等」です。日本のジェンダー不平等の根っこに男女の賃金格差があるとして、企業に格差の実態を公表させ、是正計画をつくらせ、しっかり監督するなど、「男女賃金格差が文字通りゼロになるまで国が責任を果たす」と語りました。
志位氏は、この号外を3300万枚印刷し、5月下旬から全国で配布し、政策を訴え、「日本共産党の躍進のうねりをつくっていきたい」と表明しました。