2022年5月21日(土)
侵略 食料危機を深刻化
3億2300万人が飢餓に直面
安保理会合
ロシアを各国非難
【ワシントン=島田峰隆】国連安全保障理事会は19日、紛争と食料安全保障に関する公開会合を開きました。各国から、ロシアが2月に始めたウクライナへの侵略の影響で、世界各地で食料危機や飢餓が深刻化していると批判が相次ぎました。
国連によると、今年初めの時点で世界食糧計画(WFP)が支援する81カ国で2億7600万人が急性の飢餓に直面していました。ウクライナへの侵略が始まり、3億2300万人に増えました。
ウクライナとロシアは世界の穀物輸出の約3割を占めます。ロシアによる侵略で黒海沿岸の港湾が封鎖され、輸出が滞り、穀物や肥料の価格が世界的に高騰しています。
グテレス国連事務総長は、ロシアの侵略が輸出を止めているとの認識を示し、「世界の飢餓に恐るべき新局面をもたらしている」と批判しました。
ブリンケン米国務長官は、ロシアがウクライナの港湾を封鎖し、地上では穀物倉庫を破壊していると指摘。「ロシア軍はウクライナと世界の人々の食料供給を人質に取っている」と非難しました。
フランスのドリビエール国連大使は「ロシアのウクライナに対する戦争は世界の食料安全保障に対する戦争になっている」と強調しました。ロシアに対して、敵対行為の即時停止と、ウクライナ領土からロシア軍を撤退させてウクライナの港湾から輸出を再開させることを求めました。
太平洋の島国フィジーのプラサド国連大使は、マグロの缶詰の生産業者はロシアとウクライナからのひまわり油に依存していると強調。太平洋の国々でも影響が出ており、「最良の措置は戦争を長引かせるのではなく、平和を構築することだ」と訴えました。