2022年5月25日(水)
ウクライナ侵略3カ月
ポーランド 1日2万人 難民入国
支援者の思いたどる
「見て見ぬふりできない」
2月24日から始まった、ロシアのウクライナ侵略から逃れる難民を最も多く受け入れているポーランド。現在も1日約2万人が入国し、支援は全土で続いています。侵略開始から3カ月を前に22日、同国南部のカトウィツェに入り、国内最大のカトリック系慈善団体「カリタス」が運営する難民施設を訪ねました。支援現場の状況や支援者の思いは―。(カトウィツェ〈ポーランド南部〉=吉本博美 写真も)
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カトウィツェ駅から歩いて十数分。大聖堂や教会施設が連なる地域で、最大4千人の難民の受け入れ体制を構えています。難民の滞在期間は次の移動先が見つかるまでの1~3日間が基本で、長期で2~3週間。24時間カリタスの職員、ボランティア、自治体職員らが食料や生活物資の提供、難民申請の手続きなど幅広い支援をしています。
「一人でも多く」
「故郷の人々が困っているのに、どうして見て見ぬふりができますか」と話すのは、通訳ボランティアとして活動するウクライナ人のスビエトバーナーさん(56)。ポーランドに入国しても言語が分からず、避難先でも不安を抱える難民が多くいます。「私も言葉にならないほどつらいけど、一人でも多くの難民を楽にさせたい」と語ります。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ポーランドに入国したウクライナ難民は350万人以上。人口30万人のカトウィツェ県では1万人超が難民登録され、周辺地域に定住した人々が引き続き、さまざまな支援を求めてカリタスを訪れています。
精神面サポート
施設内には4人の精神科医を配置し、カウンセリングや心理療法も実施。とりまとめ役のムオテク神父は、生活必需品など物的支援に限らず、戦禍のトラウマを抱えた難民を支えるためには精神面のサポートが重要だと話します。
小学校教師のグラジュカさん(33)はボランティアとして子どもたちにポーランド語を教えています。「『ロシアが嫌い』と話す子どももいますが、国民は悪くないんだよと伝えています。家や学校を失った子どもたちの将来を支えるのは、教育だと思います」