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2022年6月20日(月)

主張

東アジアの平和

9条生かす外交こそ未来開く

 参院選に向けた論戦の中で自民党や日本維新の会など改憲勢力は、ロシアのウクライナ侵略に乗じて軍事力の強化を声高に主張し、憲法9条への攻撃を強めています。力による対決をあおるやり方では平和はつくれません。9条を生かした外交で東アジアに平和の枠組みを築くことこそ日本が進むべき道です。

地域を包む枠組みつくれ

 10~12日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で東南アジア諸国連合(ASEAN)各国は、米中対決が強まる中、粘り強い外交で紛争を解決することを呼びかけました。

 インドネシアのプラボウォ国防相は「いかなる軍事同盟にも関与しない」立場を改めて鮮明にし、「相違があっても友好的な方法で解決に努めるのがアジアの道だ」と述べました。

 シンガポールのウン・エンヘン国防相は、東南アジア友好協力条約(TAC)が東アジアの平和にとって「核心的な法律文書」だとし、安全保障のためには、中国を含めてすべての国を包み込む「包摂性」が強調されなければならないと表明しました。

 講演で日米同盟の強化と軍拡に前のめりの姿勢を示した岸田文雄首相と対照的です。

 ASEANは1976年に締結したTACを土台に、平和と協力の地域を築き上げる努力を半世紀近く続けてきました。TACは「紛争の平和的手段による解決」「武力による威嚇または武力の行使の放棄」を明記しています。

 ASEANは、ASEAN10カ国と日米中など8カ国で構成する東アジアサミット(EAS)を強化し、TACの原則にそくして、東アジア規模の友好協力条約を展望する構想を提起しています。ASEANインド太平洋構想(AOIP)です。

 2019年6月のASEAN首脳会議はAOIPの目的、原則などを採択しました。「対抗でなく対話と協力のインド太平洋地域」をめざすことや、ゆくゆくは東アジア全体でTACの平和原則が国家関係の規範となるようにすることを提唱しています。軍事ブロックのように、特定の国を仮想敵に見立てて排除する仕組みと対極的な方向です。

 5月に東京で首脳会合が開かれた「クアッド」(日米、オーストラリア、インド4カ国の枠組み)は対中国包囲の色彩が濃く、対立を拡大していく危険をはらんでいます。いま世界で求められているのはこうした排他的なやり方ではなく、地域のすべての国を包み込む平和の枠組みです。

ASEANと協力進めよ

 EASを活用して東アジア規模のTACを締結し、戦争の心配のない平和な地域を築こうというのが日本共産党の「外交ビジョン」です。AOIPはこの方向と合致しています。現に存在するEASを発展させる点で、どの国も賛成しうる現実性のある提案です。

 憲法9条は、国際紛争を解決する手段として戦争、武力による威嚇、武力行使を放棄しています。TACの原則と共通する考えです。日本政府が9条を生かした外交に徹することが重要です。紛争の平和的解決を安全保障の第一に据え、ASEANと協力してAOIPを本気で推進することが日本に求められている役割です。


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