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2022年7月1日(金)

中ロを名指しし対抗

NATOが新「戦略概念」

 【マドリード=桑野白馬】北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は29日、向こう10年間の行動指針を示す「戦略概念」を12年ぶりに改定し、ロシアを安全保障の「最大で直接的な脅威」と位置付けました。ロシアに対抗するため、東欧を中心にNATOの防衛態勢を長期にわたって大幅に増強する軍拡計画を確認しました。

 戦略概念は、1991年のソ連崩壊以来、ほぼ10年ごとに改定してきました。ロシアのメドベージェフ大統領(当時)が出席した10年のリスボンサミットでは、ロシアを「戦略的パートナー」とする戦略概念を採択。しかし14年のロシアのクリミア侵攻・併合などで関係が悪化。今年2月のロシアのウクライナ侵略によって抜本的改定を迫られることになりました。戦略概念で具体的な国を「脅威」と位置付けるのは冷戦後初めてで、大きな転換となります。

 戦略概念としては、中国に初めて言及。中国の「野心や威圧的な政策はNATOの利益や安保、価値観への挑戦」と指摘して、対抗する姿勢を明確化。またロシアと中国の戦略的な連携の深まりが、「ルールに基づく国際秩序をむしばんでいる」と警戒感をあらわにしました。

 またインド太平洋の情勢が「欧州・大西洋の安全保障に直接影響する」として、首脳会議に招いた日本、韓国、ニュージーランド、オーストラリアのパートナー国との連携を確認しました。

 NATOのストルテンベルグ事務総長は29日の記者会見で、ロシアの侵略は「第2次世界大戦後の欧州における最大の安全保障リスク」だと述べ、これに対応して「同盟を変革し強化する決定を行った」と述べました。

 同日、スウェーデンとフィンランドの加盟議定書への署名に合意。2カ国のNATO加盟がほぼ確実となりました。


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