2022年7月2日(土)
軍事態勢を強化へ
NATO首脳会議閉幕
【マドリード=吉本博美】北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が6月30日、閉幕しました。会議では、12年ぶりに改定した行動指針「戦略概念」でロシアを「最大の脅威」と位置づけ、初めて中国への懸念を示すなど対抗姿勢を全面に打ち出しました。北欧のフィンランド、スウェーデンの加盟手続きが前進するとともに、今後、東欧やバルト諸国を中心に「冷戦以降最大」の軍事態勢の強化に踏み出します。
ストルテンベルグ事務総長は閉幕後の会見で、「この数十年で最も深刻な安全保障状況に直面している」と指摘。「抑止と防衛体制の根本的な変革に合意した」と述べました。日本を含むインド太平洋地域のパートナー国との関係強化など会議での一連の成果を紹介しました。
ストルテンベルグ氏は、ロシアによる侵略に直面するウクライナが「欧州の独立主権国家として存続できるよう」支援を強めると強調。他方で、紛争がウクライナ以外に広がり「ロシアとNATOの全面戦争」にならないようにしなければならないと述べました。
バイデン米大統領も同日の会見で、ロシアのウクライナ侵略によってNATOの結束が強まったと発言。戦争長期化に備えてウクライナに、「必要な限り」支援を続ける姿勢を示しました。また武器弾薬や防空システムなど8億ドル(約1千億円)規模の追加軍事支援を行うと述べました。
来年の首脳会議は、リトアニアの首都ビリニュスで開催されます。