2022年7月15日(金)
「民主主義対専制」 NZ首相賛同せず
アジア太平洋での中国包囲網とも一線画す
ニュージーランド(NZ)のアーダーン首相はこのほどオーストラリアで、NZの外交政策について講演し、ウクライナを侵略するロシアを厳しく批判しながらも、米国のバイデン大統領が提唱する「民主主義対専制」には賛同しないとして、アジア太平洋での中国包囲網とも一線を画しました。
アーダーン氏は7日にシドニーのローウィー研究所で行った講演で、ウクライナ侵略は「違法で正当化できない」とロシアを批判。同時に「西側対ロシア、または民主主義対専制として特徴づけるべきではない。これが別の地域の戦略的競争でも避けられない道だと想定すべきでもない」と強調しました。
また、米国がインド太平洋地域で、中国に対抗する同盟国による包囲網を強化しようとしていることとは一線を画す考えを表明。あわせて、太平洋諸国に対し「(米国か中国かの)どちらかの側につけ」と迫るやり方にも反対しました。
アーダーン氏は、インド太平洋地域で「外交を最強の手段として、緊張緩和を最も声高に叫ぶべきだ」と主張しました。
講演後の質疑応答では、「民主主義対専制」の構図に批判的な自らの考えについて質問されたのに対し、「民主主義は重要な価値だ」としつつも、外交は「想定ではなく事実で語る必要がある」と主張。シンガポールのリー・シェンロン首相が訪米の際にウクライナ戦争を「民主主義対専制」と描くべきではないと提唱したことにも触れ、ロシアの侵略に対し、「より広い反応を引きだす必要がある。安保理常任理事国である中国に果たす役割はないと考えるべきではない」と語りました。(鎌塚由美)