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2022年7月19日(火)

新型コロナ「第7波」

国際医療福祉大学教授 和田耕治さんに聞く

感染力強い系統に置き換わり

拡大局面 対策見直す時期

 新型コロナウイルスの感染者が急増しています。この問題について公衆衛生学が専門の国際医療福祉大学教授・和田耕治さんに聞きました。(武田祐一)


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 ―新型コロナウイルスの感染者が連日のように増えていますが、どう見ていますか?

 第7波の感染拡大といっていいでしょう。これまで流行していたオミクロン株BA.2系統からBA.5系統に置き換わっているところです。BA.5系統はウイルスが増殖する力がさらに強く、免疫をすり抜ける免疫逃避も獲得しています。感染力が強く、これまでのオミクロン株と別のものともいえます。

 BA.2系統の症状は、のどの痛みやせきなどが特徴的でしたが、BA.5系統は、それに加えて体のだるさや発熱が目立つようです。8月には100%BA.5系統に置き換わるとみられています。

不確実性増す

 ―普段の感染予防策は変わりませんか?

 不織布マスク着用、3密を避ける、換気、手洗いなどが基本です。人が集まるときは、体調確認、人数の制限、黙食、距離を取ることなどを徹底しましょう。暑い季節ですが、人が集まる場ではエアコン使用時に閉め切らず、換気することも大事です。屋外での活動は、人との距離が取れるときはマスクを外し、熱中症にならないように気を付けましょう。

 BA.5系統の出現で、日本では不確実性が増しています。これまでは諸外国での流行状況から国内で起こりえることを想定できましたが、今回は欧米での流行とほぼ同時期であり、病原性やワクチンの効果が得られるかがわかりません。

 欧米では、ワクチン接種と大規模な流行を経験して厳しい状況を乗り越えました。一方で多くの人が感染による免疫を獲得しています。日本では、感染による免疫獲得はまだ限定的です。

 ワクチン接種は高齢者などの4回目が始まっています。ただ若い世代の3回目のワクチン接種は進んでいません。とくに40歳以下を中心に半数程度の人が未接種です。接種会場は6月まではガラガラでした。感染再拡大した7月に入って接種する人が急増し、予約は取りにくい状況です。それでもワクチンは重症化を抑える効果が期待されるので、速やかに、まずは予約を取ることを勧めます。

情報発信が重要

 ―政府は「現時点では行動制限は考えていない」といいますが。

 それは「まだ大丈夫」ということではありません。すでに沖縄県は病床がひっ迫し、東京では1日の新規感染者が約2万人になりました。

 「まん延防止等重点措置」などの「行動制限」については、新型コロナウイルス感染症対策分科会の第7波に向けた緊急提言で「さまざまな対策を行っても医療のひっ迫が深刻になった場合には行動制限を含めた強い対策が必要となる」としています。その判断はこれまでと同様に都道府県知事にあります。

 しかし区市町村は、「行動制限」が出る前に自主的に感染予防の情報発信をすることが重要です。特に自分を守りたいと思っている人へ「接触機会を減らす」呼びかけが必要です。高齢者はもちろん、基礎疾患のある人、そうした人と同居したり、仕事で接したりする人には、飲食や集まる機会を減らすことを強く勧めます。

 日常生活や行事など、できることを増やしていくことは必要ですが、このような感染拡大の局面では、もう一度感染対策を見直すべきです。

 今年は各地で祭りが再開されていますが、十分な感染予防対策が求められます。

 今後、お盆の帰省や旅行などの予定があると思いますが、このペースでいくと感染状況は非常に厳しくなることがありえます。状況をみてキャンセルや延期などができるか確認しておきましょう。集まる機会は、時期をずらすなど分散化も検討すべきではないでしょうか。


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