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2022年8月25日(木)

主張

ロシアの侵略半年

国連憲章の蹂躙直ちにやめよ

 ロシアがウクライナ侵略を開始してから24日で6カ月になりました。国連憲章を蹂躙(じゅうりん)して隣国に攻め込み、多数の人命を奪った許しがたい蛮行です。ロシアのプーチン大統領は国際社会からの厳しい批判に背を向け、ウクライナの主権を否定する立場を変えず、目的遂行まで戦争を続けるとしています。これ以上、泥沼化させるわけにはいきません。ロシアはただちに軍を撤退させるべきです。

緊急特別会合決議に従え

 人口約4200万人のウクライナで国外へ逃れた人は、国連機関によると8月半ばまでに665万人を超えました。国内で660万人以上が避難生活を余儀なくされています。約3割の国民が家を奪われたことになります。民間人の死者は5500人超とされますが、実際にはさらに多いとみられます。

 プーチン大統領は、ロシア、ウクライナ両民族を「一体不可分」とする特異な主張に固執し、ウクライナの現政権が反ロシアの立場だとして侵略を正当化しています。1991年に独立したウクライナは主権国家であり、国の針路を決めるのはウクライナ国民です。

 ロシアの主張は他国を自国の勢力圏とみなす大国主義・覇権主義そのものです。

 第2次世界大戦後の国際秩序を定めた国連憲章は侵略行為の禁止、紛争の平和的解決、加盟国の平等、領土保全などを明記しています。ロシアは加盟国、安全保障理事会の常任理事国として履行する義務を負っています。

 だからこそ国連総会は3月の緊急特別会合でロシアの侵略を国連憲章違反だと非難し、ロシアに「即時、完全、無条件撤退」を求める決議を、141カ国の圧倒的多数の賛成で採択しました。ロシアはただちに決議に従って軍を引き揚げなければなりません。

 ウクライナ南東部のザポロジエ原発をロシア軍が制圧し、戦闘で設備に被害が出ています。原子炉への軍事攻撃は国際法で禁止されています。原発の軍事拠点化は非人道的で無法なロシア軍の姿をうきぼりにしています。原子炉が破損すれば、周辺国や世界に危険を広げる恐れがあり、国際機関や各国政府がロシア軍の撤退を求めています。

 世界に核兵器使用の脅しをかけている点でもプーチン政権は平和を危うくしています。北大西洋条約機構(NATO)が新「戦略概念」で、核を含めた戦力増強を決めたことも核戦争の危険を高めています。国連のグテレス事務総長は6日に広島市で核保有五大国に核兵器の先制使用を行わない誓約を求めました。応じるべきです。

世界の団結こそ最も重要

 米国のバイデン政権はロシアの侵略をめぐって「民主主義対専制主義のたたかい」というスローガンを押し出しています。今必要なのは世界が一致してロシアに国連憲章を守らせるよう迫ることです。そこに特定の価値観を持ち込めば、解決の方向を誤らせることになりかねません。

 ロシアの侵略に乗じて岸田文雄政権は大軍拡に乗り出しています。軍事対軍事の対決は際限のない軍拡競争を招き、戦争の危険をさらに高めることにしかなりません。「ロシアは国連憲章を守れ」の一点で世界が団結を広げていくことが何よりも重要です。


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