2022年9月20日(火)
ロシア国民的歌手がウクライナ侵略非難
国内外で共感広がる
「百万本のバラ」
日本でも「百万本のバラ」の歌手として知られる、ロシアの国民的歌手アーラ・プガチョワ氏(73)が18日、ロシアのウクライナ侵略戦争を「(プーチンによる)幻想で生まれた目的のために、多くの若者を死に追いやり、ロシアを孤立化させ、市民生活を困難にさせている」とSNSで厳しく批判しました。
プガチョワ氏は旧ソ連時代から数々のヒットソングを歌い続け、ソ連崩壊後も2009年に当時のメドベージェフ大統領に勲章を授けられた国民的歌手です。ロシアがウクライナに侵略した翌月の3月に夫のコメディアン、マクシム・ガルキン氏(46)とともにイスラエルに移動していましたが、8月にロシアにもどったばかりでした。
プガチョワ氏の戦争批判の直接のきっかけは、ガルキン氏がロシア政府により16日、「外国の手先」のブラックリストに載せられたこと。ガルキン氏は「ロシア軍の残虐さを非難する」「ウクライナへの侵略は正当化できない」と、これまで何度もロシアのウクライナ侵略を非難していました。
ロシア政府は、政府を批判する反体制活動家やメディア、芸術家などを「外国の手先」と名指しし、国内での活動をほとんど不可能に追いやってきました。戦争開始後、この傾向はいっそう強くなっています。
「いいね」64万超
プガチョワ氏は、写真共有サービスのSNS、インスタグラムで、「祖国を真に愛する夫を外国の手先とするなら、私は夫と連帯する。私も外国の手先のリストに入れてみて」と訴えました。
このプガチョワ氏のコメントはロシア内外に大きな反響を呼んでいます。
同氏のインスタグラムは300万を超えるフォロワーがいますが、日本時間で19日午後6時現在、このコメントにはすでに64万人以上の人が「いいね」をつけました。ロシア系の多くの政治家、芸術家、活動家が「悪の権力に対する百万本のバラだ」「彼女のような有名な歌手がこのコメントを出したことは尊敬に値する」などと高く評価しています。(片岡正明)