2022年9月29日(木)
各国から非難相次ぐ
ウクライナの主権侵すもの ロシア編入「住民投票」
国連安保理
【ワシントン=石黒みずほ】国連安全保障理事会は27日、ウクライナ東・南部4州で親ロシア派がロシア編入の是非を問う「住民投票」を強行したことに関する緊急会合を開催しました。各国からは、ウクライナの主権と領土保全を侵害するものだとして、ロシアを非難する声が相次ぎました。
国連のディカーロ事務次長は、23~27日に実施された「住民投票」で、兵士を連れた当局者の戸別訪問による投票も行われたと説明。「武力衝突の最中にロシア支配地域で行われた投票は、民意を反映したものとは言えない」「他国の領土を奪う一方的な行為は、国際法の下で合法とみなされない」と述べました。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「ロシアが編入を狙うウクライナの領土をロシアのものであると決して認めない。ロシアの行為をきっぱりと否定する」と強調。「偽りの住民投票」を非難し、ウクライナの領土変更を認めないことを各国に求める決議の採択を目指す考えを明らかにしました。
オンラインで参加したウクライナのゼレンスキー大統領は、投票の際、人々が機関銃で脅されながら用紙に記入させられたと訴え。「他国の領土を編入させることは、国連憲章に対する残忍な違反であり、国際法の規範を抹消する試みだ」として、ロシアの常任理事国資格のはく奪や新たな制裁を各国に求めました。
ロシアのネベンジャ国連大使は「『住民投票』は40カ国100人以上の選挙監視員の下、透明性をもって行われた。住民たちは長い間待ち望んでいた」などと述べました。
「『住民投票』は民主主義や民意などと全く関係ない。ロシアは力でなくパニック状態にあることを示している」(アルバニア)、「他国の領土を脅しや力によって編入することは国連憲章・国際法違反だ」(ケニア)、「『住民投票』は紛争の平和解決のためのこれまでの取り組みをより困難にする」(アラブ首長国連邦)など、多くの国が批判しました。