2022年10月5日(水)
核先制不使用の約束を
国連総会 保有国に中満氏訴え
【ワシントン=島田峰隆】国連の中満泉軍縮担当上級代表(事務次長)は3日、「いま核兵器の使用が受け入れがたいほどに起こりうる範囲内にある」と懸念を表明し、「人類を絶滅から救う即時の措置として核兵器の先制不使用を約束することをすべての核保有国に緊急に訴える」と述べました。
国連総会第1委員会(軍縮・国際安全保障問題)の一般討論で発言しました。
中満氏は、核兵器使用を威嚇するロシアの名指しは避けつつ、ウクライナでの戦争で「核兵器の現実的な危険」が再び世界の焦点になったと指摘。いまの深刻な事態は、核兵器への依存の深まり、透明性や対話の欠如、核兵器予算の増加、使用の威嚇など「この間の問題のある傾向の直近の表れにすぎない」と核保有国を批判しました。
8月の核不拡散条約(NPT)再検討会議に関して、最終文書を採択できなかったものの文書案には過去の核軍縮合意の有効性など有益な内容が含まれていると強調。すべての国に文書案の中身の実践を呼び掛けました。
中満氏は「核兵器のない世界に向けた努力では悪いニュースばかりではない」とし、「核兵器禁止条約第1回締約国会議が成功を収め、宣言と行動計画を採択したことを温かく歓迎する」と述べました。