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2022年10月14日(金)

主張

「併合」非難決議

ロシアは国際的な総意に従え

 国連総会が12日の緊急特別会合で、先月ロシアが一方的に宣言したウクライナ東部・南部4州の「併合」を国連憲章と国際法に反する違法行為として無効とする決議を採択しました。賛成は加盟国(193)の7割を超す143カ国です。反対は5カ国だけでした。賛成が圧倒的多数です。ロシアは国際社会が示した総意を受け入れて「併合」を撤回し、ただちに侵略をやめて撤退すべきです。

主権侵害許さぬ声が圧倒

 ロシア軍の侵攻開始後、国連総会で3月に侵略非難決議(賛成141カ国)と人道問題での決議(同140カ国)が採択されています。今回の賛成国は両決議を上回り最多となりました。

 決議は、武力で他国の領土や独立を侵すことを禁じた国連憲章に基づいて、ロシアによる「併合」と、それを正当化するために実施した「住民投票」を違法と非難しました。「併合」はウクライナの主権を侵害する行為であり、法的効力はないとして「即時、無条件」で撤回するよう求めました。

 4州がロシアの「一時的軍事管理」に置かれているのは、侵略の結果であることも明確にし、改めてロシアにウクライナ全土からの「即時、完全、無条件の撤退」を要求しました。

 今回の特別会合は「併合」宣言の直後に開かれた国連安全保障理事会でロシアが拒否権を行使して非難決議を採択させなかったことを受けて開かれました。

 決議採択に先立つ特別会合の討論では「常任理事国には国連憲章を守る重大な責任がある」(フィジー)、「いかなる状況下でも他国がこのような侵略の犠牲になることを許さない」(メキシコ)などと「併合」を違法とする発言が相次ぎました。

 ロシアが拒否権を行使したことについては「国連総会が政治的リーダーシップを決然と示さなければならない」(インドネシア)、「法の支配に基づいた国際秩序の下に結集できるかが国連総会にかかっている」(ルクセンブルク)と総会の役割を強調する声が上がりました。

 安保理が決議を採択できないもとでも、大小にかかわらず多くの国が声を上げ、総会を開いて侵略と「併合」を許さない意思を示したことは重要です。

 討論で各国から、紛争がエスカレートしていることへの懸念が表明され、国連憲章の原則に基づいた平和的解決に向けた外交交渉を求める声も上がりました。これを受けて決議が、ウクライナの主権と領土保全を尊重しつつ、政治対話や交渉など平和的手段による解決への支援を国際社会に求めたことは大切です。

 ウクライナの主権と領土保全の尊重を前提に、国連が主導して平和的、政治的解決に向けた外交努力を強めることは急務です。

侵略中止、撤退しかない

 ロシアは「報復」を名目にウクライナ全土に無差別攻撃を拡大しています。国際人道法に反する許しがたい行為です。

 ロシア軍が一部占領地からの撤退など劣勢に追い込まれているのは大義のない侵略戦争だからです。国内で大規模な軍事動員をかけたり、核兵器の先制使用を公言して世界を威嚇したりしても自国を破滅に導き、世界の平和を危うくするだけです。


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