2022年11月29日(火)
中国 コロナ政策への抗議拡大
「自由を 民主主義を」
封鎖やめよ 「人民の声聞け」
【北京=小林拓也】中国政府による厳しい新型コロナウイルス政策に対する中国国民の抗議が広がり続けています。同国民の怒りは習近平指導部に向かいつつあり、若者からは自由や民主主義を求める声も出ています。
15省・自治区・直轄市で行動
27日夜には首都・北京市の中心部東の各国大使館などが集中する「亮馬橋」周辺に数百人の市民が集まり、抗議の声を上げました。市民らは白い紙を掲げ、「PCR検査は要らない、自由をよこせ」と連呼。通りかかった乗用車が次々とクラクションを鳴らし、抗議行動への支持を示しました。
SNS上の動画によると、白い紙を掲げていた女性は「紙に何も書かれていないが言葉は心の中にある。封鎖をやめよ。生きる道をふさぐな。人民の声を聞け」と叫びました。
SNSによると27日には、習近平国家主席の出身校である清華大学の構内でも1000人近い学生が集結。白い紙を手に「民主主義を、法治を、表現の自由を」と訴え、革命歌「インターナショナル」を合唱しました。
ある女性は「もし逮捕を恐れて声を上げないのなら、人民は私たちに失望するだろう。そうなれば、清華大学の学生として一生後悔する」と決意を述べました。
四川省成都市でも同日夜、繁華街で数百人の市民が抗議行動を実施。「言論の自由をよこせ、人権をよこせ、独裁に反対だ」などと訴えました。「終身制はいらない、皇帝はいらない」など習主席を批判するスローガンを叫ぶ市民もいました。
湖北省武漢市でも同日、数千人の市民がデモ行進し、コロナ政策による封鎖の解除を求めました。
24日に新疆ウイグル自治区ウルムチ市で起きた10人が死亡する火災で、コロナ政策による封鎖などで救助が遅れたとして、当局に対する批判が噴出。26~27日に上海や広東省広州などの大都市、北京大学など各地の大学に抗議行動が広がり、香港メディアによると少なくとも15の省・自治区・直轄市、79校以上の大学で行動が起きました。中国のある政治学者は「中国全土で厳しいコロナ政策が続き、封鎖などで人々の生活や仕事が困難になっている。さらに封鎖の影響で犠牲者が出たことで不満が爆発した」と指摘。「抗議行動を受けて、中国政府が政策を変えるのか注目している。もし変えなければ人民と政権の矛盾はさらに深まり、行動はエスカレートするだろう」と語りました。