2023年1月4日(水)
主張
反核・平和の本流
核廃絶へ大きく歩み進めよう
ウクライナに侵略したロシアのプーチン大統領が核使用の威嚇を続けた2022年、世界は核戦争の危険に直面しました。同時に、逆流に立ち向かった反核平和の動きこそ、世界の本流であることが改めて浮き彫りになりました。23年は、この流れをさらに広げ、平和を取り戻し、核兵器廃絶へ前進する年にしなければなりません。
危機を乗り越える強い力
国連のグテレス事務総長は昨年9月26日の「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」にあたり、ロシアの「あからさまな侵略」が拡大する中で「人道的破滅を引き起こす危機にひんしている」と核使用への危機感を表明しました。ロシアのみならず米英仏中が核戦力の維持・強化を図っています。北朝鮮やインド、パキスタン、イスラエルも含め、世界には1万3000発近くの核弾頭が存在しています。一歩間違えば、人類に破滅的な結末をもたらしかねません。
一方、核の危機を乗り越える力強い動きが発展しています。昨年6月、核兵器禁止条約(21年発効)の初めての締約国会議が開催され、大きく成功しました。ロシアのウクライナ侵略に公然と反対しない国も含め全会一致で「あらゆる核兵器の威嚇を非難」したことは重要です。禁止条約は68カ国が批准しています。署名は91カ国となり国連加盟国の過半数に達しようとしています。昨年末の国連総会では禁止条約への参加を訴えた決議が加盟国の6割以上の賛成で採択されました。この流れを押しとどめることはできません。
昨年8月の核不拡散条約(NPT)再検討会議は、ロシアの反対で最終文書を採択できませんでした。しかし、核五大国が核兵器廃絶への合意と同条約が定めた核軍縮交渉義務に背を向け続けていることにも批判が集中しました。その中で非核国は、忍耐強く全ての国の合意をめざしました。軍事ブロックによる排除と分断ではなく、国連憲章に基づく包摂的な世界を求める重要な動きです。
ロシアのウクライナ侵略に乗じた軍事力強化の動きは世界の大勢ではありません。禁止条約を軸に、力強く発展する非核・平和の流れにこそ、希望があります。
今年11月、禁止条約の第2回締約国会議が開かれます。26年開催予定のNPT再検討会議の準備作業も始まります。締約国会議に合わせた国際的な共同行動も検討されています。危機を乗り越え、核兵器のない世界に向けて大きく歩みを進めることが重要です。
唯一の戦争被爆国である日本政府の姿勢がこれまで以上に厳しく問われています。岸田文雄政権は、敵基地攻撃能力の保有、大軍拡と大増税に踏み出し、アメリカの「核の傘」への依存を強めようとしています。軍事対軍事の悪循環は緊張を激化させるだけです。被爆者が警告するように「核対核」は破滅への道です。「戦争国家づくり」の暴走を許してはなりません。
被爆国の政治の転換こそ
日本に求められるのは、ヒロシマ・ナガサキを繰り返させない決意に立って禁止条約に参加し、世界の流れに合流することです。それを実現することは、日本の運動の差し迫った課題であり、国際的な責務です。日本共産党は内外の反核平和運動、被爆者と固く連帯して、被爆国にふさわしい政治の実現のために力を尽くします。