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2023年1月20日(金)

戦争させないために

教育子育て九条の会

平和パンフ改訂版発行

高校生の取り組みも紹介

 憲法の精神を子育てと教育の現場に生かそうと活動する「教育子育て九条の会」(佐藤学事務局長・東京大学名誉教授)は18日、パンフレット『武力でいのちと平和は守れるか?』の改訂版を発行しました。岸田政権が閣議決定した「安保3文書」への批判もいち早く取り入れ、ロシアのウクライナ侵略に抗議する高校生の取り組みも紹介しています。(遠藤寿人)


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(写真)パンフを見せる石山久男さん(右)

 ロシアのウクライナ侵略に乗じて昨年、「軍事力拡大やむなし」の風潮が広まりました。そうした世論に対して新しい風を吹き込もうと、同会はパンフを作製。「攻められたらどうする」ではなく、「戦争にしないためにどうする」かに力点を置きました。

 パンフは昨年11月に発行。A5判16ページ、フルカラー。すでに7000部を配布し、さらに加筆、修正した改訂版を5000部増し刷りしました。

 全国8都府県の高校生平和ゼミナールなど8団体は昨年3月、ウクライナ侵略に抗議する緊急署名を実施、ロシア大使館に届けました。署名は7000人分を超えています。

 愛知県高校生フェスティバル実行委員会の200人は昨年3月、「戦争反対」の横断幕を持って緊急行進しました。パンフはそうした高校生の活動や平和への思いも取り上げています。

 東京平和ゼミの実行委員長で、高校3年生(18)は「ウクライナ侵略にはすごく悲しみを感じた。侵略が、自分たちが生きている同じ時間、同じ地球、同じ人類の中で起きている。自分たちができることをやり続けて抗議したかった」と振り返ります。

 同会事務局の女性は、地域の9条の会や女性、市民団体、労組などからの注文が多いと話します。「表紙に若者のイラストが描かれていて読みやすそう」「高校生に励まされた。感動した」などの感想が寄せられています。

 パンフの原案を書いた元歴史教育者協議会委員長の石山久男さん(86)は「戦争に備えるため、軍備拡張もやむを得ない」という世論に、それが通用しないことを具体的な事実で解説したといいます。

世界の努力伝えたい

 パンフレットの原案を書いた石山さんが特に強調したのは「これからの戦争は被害の質が全然違う」ことです。現代の核兵器は広島・長崎に落とされた原爆と比べて威力が大規模である。原子力発電所への攻撃で、日本全域が人の住めない地域になる危険性がある…。そうしたことをパンフは力説しています。

 「戦争を話し合いで本当に止められるのか」などの疑問に、第2次世界大戦後の国際連合と東南アジア諸国連合(ASEAN)の動きを取り上げました。対立・緊張関係を激化させない、戦争を回避するための真剣な対話と平和の秩序づくりを紹介しています。

 石山さんは「戦争を止めるために国際社会が努力してきた成果が一般には報道されていない。そういう事実を広め教育でも取り上げて、多くの国民が戦争を止めさせる希望と確信をもてるようにすることが大事だ」と指摘します。

 高校3年生は「軍拡しなければならないという議論になることはすごく理解できる」としたうえで、「対話による解決をもっと重視すべきだ。日本は第2次世界大戦で被害だけでなく主にアジア諸国への加害の歴史を持つ。それを踏まえて特にアジアでは、対話による解決に踏み込む外交努力が必要」と話しました。

 「教育子育て九条の会」の連絡先はメールkyoiku-kosodate9@tenor.ocn.ne.jp。


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