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2023年4月8日(土)

主張

軍拡の財源づくり

大増税・暮らし予算削減許すな

 岸田文雄政権が昨年末に決定した安保3文書に基づき進めようとしている大軍拡のための「財源確保法案」が衆院で審議入りしました。3文書の一つ、「防衛力整備計画」は、敵基地攻撃能力保有などのため、今後5年間の軍事費総額を43兆円にするとしています。これを許せば、大増税と暮らし関連予算の大幅削減は必至です。

あらゆる手段使い

 「防衛力整備計画」は、2023~27年度の軍事費総額を43兆円とし、うち40・5兆円を各年度の当初予算で手当てするとしています。そのために、政府は14・6兆円の新たな財源が必要になるとしています。この追加財源は、(1)税外収入で4・6兆~5兆円強(2)決算剰余金の活用で3・5兆円(3)歳出改革で3兆円強(4)残りを税制措置(増税)―で賄う方針です。

 (1)の税外収入4・6兆円は、▽特別会計からの繰入金▽コロナ予算による積立金や基金の国庫返納▽国有財産の売却収入―で確保するとしています。4・6兆円のうち1・2兆円を23年度の予算に充て、残りの3・4兆円は24年度以降の財源として「防衛力強化資金」に繰り入れます。財源確保法案はこの実施に必要なものです。

 国庫返納には、国立病院機構の積立金422億円と、社会保険病院などを運営する地域医療機能推進機構の積立金324億円が含まれます。これらの国公立病院はコロナ対策の中核であり、積立金は老朽施設の改修や医療労働者の待遇改善などに使われるべきです。

 国庫返納にはまた、中小企業向けゼロゼロ(無利子・無担保)融資の基金の残金2350億円も含まれています。コロナ禍で借り入れた資金の返済や物価高で苦境にあえぐ中小企業への支援にこそ振り向けるべきです。

 特別会計からの繰入金は、為替介入に備える外国為替資金特別会計と、公共事業などのための財政投融資特別会計からそれぞれ3・1兆円、0・6兆円を回します。

 (2)の決算剰余金は、国の会計の歳入から歳出を引いた差額で、これまで年度途中に組まれる補正予算の財源になってきました。軍事費に転用されると、災害支援など緊急の予算対応ができなくなる事態も生まれかねません。

 (3)の歳出改革については、政府は具体的にどこを削るか示していません。「社会保障関係費以外」で行うとしていますが、医療や介護、年金などの改悪が続いており、その保証はどこにもありません。教育や中小企業、農業などの予算が対象になるのも避けられません。

 (4)の税制措置は、昨年末に閣議決定された「税制改正大綱」で、法人税やたばこ税の増税のほか、東日本大震災の復興財源である復興特別所得税のほぼ半分を軍事費に流用し、課税期間を延長するとしました。24年以降に段階的に実施し、27年度には1兆円強を確保するという大増税です。

歴史の教訓に背く

 加えて政府は戦後初めて、23年度の軍事費で施設整備費と艦船建造費の計4343億円を建設国債の対象にしました。かつて大量の国債発行が侵略戦争拡大につながった歴史の教訓に背くものです。

 岸田政権の進める大軍拡は、国民の暮らしとともに、アジアの平和を壊すものです。財源確保法案の廃案はもちろん、安保3文書の撤回が必要です。


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